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中国人監督が「靖国」映画制作
日本で活動する中国人映画監督、李纓さん(44)が、靖国神社をめぐる人々の姿から、戦争が日本人の心に残した混乱とその背景を描こうと、10年をかけ撮影したドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が完成、4月から全国で公開される。
映画は、軍刀の「靖国刀」を打ち続ける刀匠を中心に、小泉純一郎元首相の靖国参拝をめぐり、境内で軍服で隊列を組み参拝する男たちや、星条旗を掲げて元首相支持を訴えた米国人に対する参拝者の反応などを映す。
李監督は平成元年、自由な映画制作を求め来日し、約20年間日本に住む。映画を通して「なぜ日本と他のアジア諸国の間で戦争に対する認識のギャップが残っているのか、問い掛けたい」と訴える。
制作のきっかけは、9年に神社近くで開かれた南京事件60周年のシンポジウム。旧日本軍の映画が上映され、君が代とともに兵士が行進するシーンに、参加者が拍手喝采(かっさい)する姿に衝撃を受け、撮影を始めた。
境内で首相参拝を批判した日本人青年が、賛成派から中国人と間違われ「中国へ帰れ」と暴行される場面も。監督は「怖くて汗が止まらず、ピントがうまく合わせられなかった」と振り返る。
李監督は「靖国神社はアジアにとって重要な問題。人々がもっとよい形でコミュニケーションできるようにしたい。この映画は第二の故郷である日本へのラブレター。小泉元首相にも見てほしい」と話している。