評価 |
閲覧 |
推薦 |
日付 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
れつ |
59 |
1 |
03/19 15:34 |
|||
全力失笑 |
166 |
5 |
03/19 13:11 |
|||
ミーコ |
184 |
6 |
03/19 12:45 |
|||
KEIKO |
250 |
6 |
03/19 12:03 |
|||
Tatsu |
370 |
8 |
03/19 11:14 |
|||
empro は OhmyNews 編集部発の実験メディアプロジェクトです(empro とは?)。
五輪前の中国にテロが多発する宮崎 正弘(2008-03-19 10:30)
3月10日のチベット民衆蜂起49周年日には、必ず何かがおこると観測されていた。宗教者の釈放要求などが続いていた。中国人民解放軍、人民武装警察、公安は特別の警戒態勢に入っていた。
チベット自治区の省都ラサ市内の中央にあるジョガン寺付近は、もっとも緊張感に溢れていた。暴動は一触即発で起こる雰囲気だったのだ。 ジョガン寺屋上(撮影:宮崎正弘) チベット仏教徒は、ジョガン寺を時計の反対方向へ回る。礼拝の儀式である。ところが信仰心の薄い中国人観光客は、チベット仏教をあざ笑うかのように、わざと反対方向に回る。 観光客は年間35万人を超えており、9割が中国人。青蔵鉄道の開通以来、3倍になったが、彼らは漢族経営のホテルにとまり、漢族経営のバスにのって漢族経営のレストランで食事をする。現地人と軋轢(あつれき)を産むのも当然と言えば当然である。 周辺は浅草観音のように仲店と屋台が並び、アメリカ人経営のカフェやビアホールもある。 観光客が集中する土産屋のほぼ8割を漢族が利権を独占、さらにタクシーも漢族で、チベット族は人力車くらいだ。歴然とした差別に加え、近年は意図的にラサへ回教徒の入植をすすめてきた。 周辺は多くの名刹(めいさつ)、小さな寺々が密集し、僧侶が多い。尼僧も目立つ町である。3月初旬から「聖なる都」を象徴するポタラ宮殿前は、集会禁止、クルマの乗り入れ禁止措置がとられてきた。 ラムチ寺でハンガーストライキ中の僧侶に対して、武装警察が寺院に侵入し、殴る蹴るの暴行の末に発砲、8人が殺された。この殺戮(さつりく)が契機となり、チベット族の怒りが爆発したというのが真相のようだ。 武力侵略と苛烈なる支配に半世紀を耐えて、あまりに横暴な中国の遣り方に反発するチベット人は、漢語でいう「西蔵自治区(チベット自治区)」のみならず、隣接する青蔵省、四川省北部、甘粛省などに多く住んでいる。すぐにラサに連動した抗議行動が行われたのも、近年の携帯電話の発達のおかげで横の連絡がとれるからだ。 さて暴動は映像が制限されたため、警察や軍による虐殺場面がニュースには流れてこない。当局が、映像をコントロールしているからだ。暴徒が商店や銀行を襲撃している映像ばかりだから、これだけ見るとチベット人が悪いと勘違いしそうになる。とくに商店は漢族経営で、冬の間は四川省に帰る。日頃から怨嗟(えんさ)の対象である。 新華社は「ダライラマ一派、分裂主義者の策動」と言いつのり、最初は死者を10人としていた。ダライラマ政府(インド)は死者80名を確認、ほかに100名の犠牲がでた懼(おそ)れがあり、調査中と記者会見した。 ともかくダライラマ猊下(げいか)は、徹底した非暴力を訴えてきた。 その非暴力、穏健路線につけいって、恐怖政治を強いるのが中国共産党の遣り方だ。胡錦濤国家主席は、1989年にチベット血の弾圧を命じた張本人で、それが党中央に認められて3階級特進をとげた。現在のチベット自治区のボスは、張慶黎(張万年元中央軍事委員会副主任の甥)書記だから、胡の遣り方に学び、血の弾圧を繰り返すであろう。 2005年、3年前の或る日、筆者は四川省チベット族自治村(黄龍)の麓のホテルで足裏マッサージを受けたことがある。チアン族とチベット族が棲み分けており、経営者が漢族だった。チベット族の若い女性が揉んでくれた。 「兄弟姉妹は何人?」 「3人です。私が長女」 「北京に行ったことある?」 と私。 「ないわ。でも上海には行ったことあるけど、お客さん東京? 東京は上海より綺麗?」 バゴールを歩くチベットの若者たち(撮影:宮崎正弘) すると、「ちょっとだけ。でも両親はチベット語を喋るけど」。これは、衝撃に近い意見である。 この非政治的な反応は一種の驚きを越えて、まさにダライラマ猊下が懸念するように、チベット族居住区での非チベット化が、これほど激甚かつ迅速に深化している現実を目撃した感じだった。複数の住民に、おなじ質問をしたが答えは同じだった。国語という民族文化の中核が失われると、チベット族も漢族化してしまう。チベット仏教への信仰も薄れてしまう。 半世紀にわたるチベット抑圧と独自の文化を無造作に破壊して、中華民族主義教育を押しつけてきた北京の政策が、末端のチベット民衆から怒りを買っていた事実が明確に浮かび上がった。 インドとネパールから始まった中国非難の声は欧米、台湾へと飛び火し、3月17日には東京でも抗議集会が開催された。 「皇太子殿下のオリンピック期間中の御訪中はやめていただくべきではないか」とする声も猛烈な勢いで聞かれるようになった。 先週はウィグル(東トルキスタン)独立をもとめる女性が、飛行機の中でガソリンに点火して飛行機ごと爆発させるテロを狙ったが未遂に終わった。 これから北京五輪に向けて、テロが次々と中国を襲うことになる可能性が高まった。 宮崎正弘(評論家)
|