アテンザの下取り車に見るユーザーの乗り換え状況

■新型アテンザのボディータイプ別下取り車
ボディータイプ セダン 5ドアHB ワゴン
1%
3%
3%
コンパクト
3%
6%
3%
ミドルクラス
47%
48%
21%
アッパークラス
30%
6%
8%
ワゴン
4%
11%
38%
RV、バンなど
12%
20%
26%
スペシャリティー
3%
6%
2%
合計
100%
100%
100%

 ではミドルクラスセダン市場の今後を占う意味で、新型アテンザの「セダン」の下取り車の状況を見てみよう。まず、ミドルクラスセダンからの移行が最も多く47%だ。次いで多いのがアッパークラス(センティア、ミレーニア、マークIIなど)の30%、ミニバン・SUVが12%となっている。アッパークラスセダンが多いのは、マツダの同クラス車「センティア」、「ミレーニア」がすでに生産中止のため、マツダ車を乗り継ぐユーザーがアテンザに移行しているためもあるだろう。しかし、ミニバン・SUVの下取り車が12%あるのは、注目に値する。

 また、特に「5ドアHB(ハッチバック)」と「ワゴン」では、ミニバン・SUVからの移行が20%、26%と多い。今後、ガソリン価格高騰やライフスタイルの変化を期に、ミニバン・SUVからの、あるいはアッパークラスからの、ミドルクラスへの移行が進むことが考えられる。そうすれば、ワゴンを含むミドルクラスとして年間22〜25万台(国内新車販売台数の12〜13%)が現実になりそうだ。そのうちセダン市場が、7〜8万台となるだろう。

 今後の乗用車市場は、地球温暖化や化石燃料の枯渇、都市交通問題などの自然環境・社会環境を考慮していかざるを得ない。製品としての完成度だけでなく、そのクルマが資源や環境、安全問題に対して何を配慮し、どう対処しているかという「クルマの品格」が問われるようになってくる。そうした品格は、レクサスや新型クラウンには感じられない。

 そのような視点で考えると、厳しい欧州規格でまとめられた新型アテンザにはその資格がある。新しい時代のフォーマルセダンは、このような「クルマの品格」を備えたミドルクラスセダンになるのではなかろうか。

著者

須藤 將(すとう すすむ)

早稲田大学理工学部卒業、1967年4月東洋工業(現マツダ)入社。RX-7(約10年)、ルーチェ、コスモのプロダクトプランナーとして新型車の開発に従事。通産省プロジェクト「コンピュータコントロールドビークルシステム」及び建設省プロジェクト「デュアルモードバスシステム」に参画。広報、海外宣伝を担当(主幹)。マツダ退社後、有限会社パラガン設立。自動車誌ではモーターファン・イラストレーテッドに執筆。