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財団法人日本ユニセフ協会

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財団法人日本ユニセフ協会

被害者のいない子どもポルノ?

子どもたちの権利を守るために、皆様のご理解とご協力をお願いします

【2008年3月17日 東京発】

ヤフー梶Aマイクロソフト梶A(社団)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、(財)日本フォスタープラン協会をはじめ、多くの企業・団体のみなさまからのご賛同を得、2008年3月11日(火)にスタートした「なくそう!子どもポルノ」キャンペーン。 おかげさまで、すでに大変多くのみなさまから、署名へのご参加、ご賛同の声を戴いております。

こうした中で、「ユニセフは日本のマンガ・アニメ文化を否定するのか?」といったご質問をいただきました。

私どもは、マンガ、アニメ、コンピューターゲームそのものを否定するものではありません。私どもが「なくそう!」と訴えているのは、『子どもポルノ問題に関する緊急要望書』の中に記したとおり、あくまで「欧米各国では法律等で禁じられている子どもへの性的虐待を描いた」(要望書前文5〜6行目)ものであり、「子どもに対する性的虐待を性目的で描写した」(要望項目(1))ものに限定されます。性教育や性的虐待の事実を訴えるなど、「性目的」以外の目的で作成されたものは含まれません。また、性目的で描写した子どもポルノであっても、他人への提供を目的としない製造(例:自分自身の楽しみのために紙やPC上で描く行為)の禁止までも求めるものではありません。

多くの先進国では、性目的で子どもの性的虐待を描いたアニメ・漫画・ゲームソフトなども、「子どもの性的虐待」を社会的に容認することにつながるなどの理由から、その販売・提供・流布を、既に法律的に禁止または禁止する方向で法律の整備が進められています。私どもが把握する限り、少なくともスウェーデン、カナダ、米国(連邦法)が、法律でこうした「子どもポルノ」を禁じています。欧州評議会も、加盟各国に法的対策を促す条約を発効しました。また、カナダでは2005年、米国でも2006年に、日本製の子どもポルノマンガ・アニメの所持に対する有罪判決が出ています。

インターネットの発達により、国境を超えた画像・イメージの取引が、瞬時のうちに行えるようになりました。また、輸送・物流サービスの発達によりDVD・漫画・ゲームソフトの輸出入も容易になっています。いくつかの国が法律で子どもポルノの製造・提供・単純所持などを取り締まったとしても、どこかの一国でもそれらを許容している国があれば、またそれが、日本のような、ITや物流・消費などで国際的に大きなシェアを占めている国であった場合、世界の子どもポルノ問題の解決はおぼつかないものとなってしまいます。ひいては、世界中に「子どもの性的虐待」画像がいつまでもあり続けることにつながります。

これ以上、子どもの権利が安易に侵害される事を防ぐために、本キャンペーンへのご理解とご協力をお願いいたします。

(財)日本ユニセフ協会

 

子どもの性的搾取を描いたマンガ、アニメ・・・。なせ問題なのか? エセル・クエール博士
(アイルランド・コーク大学 コーピンプロジェクト)の報告

Child Pornography - Victimization on the Internet

Dr. Ethel Quayle

私たちはインターネットによって随分変えられ、また、私たちもインターネットを変えています。(中略)ネットは人の気分を変えさせる上で非常に力があることがわかっています。情報を入手するのには方法がありますが、犯罪を犯そうという時の抑制力を変え、よりリスクのある行動をとるようになるわけです。

そしてインターネットは交換媒体となります。特に写真の交換、いろいろな性に関する素材、性的マンガ、どこに行けば子どもたちがいるかといった情報もネット上で共有されるのです。インターネットは私たちの社会の従来からの規制に対して、挑戦を突き付けるものです。

大多数のマンガは性的な問題を孕むものではないし、日本のみならず世界を豊かにしているものです。通常いわゆるマンガ・アニメにおいては、キャラクターの描き方に違法性があるとは見なさないことが多いのですが、マンガの内容そのものが子どもを性虐待することと繋がっているならば、実在の子どもたちがそういった性対象として見られてしまう可能性があるのです。こういったものについてわかっているのは、インターネット上に掲載されたマンガによる日本の子どもたちの性的利用が、決して日本国内に限られるものではないということです。インターネット上の画像を、世界中また特に西欧諸国の人々が目にすることになります。日本で作られた子どもの虐待画像が他国の人々によってその性的欲求を満たすために使われているのです。これは、私たちが考えなければならない重要な点です。

実際の犯罪との関係

子どもポルノをオンラインで見るということと、(実際の子どもへの)接触犯罪を犯すということとの正確な関係ははっきりしていません(中略)しかし、こうした画像を視聴することと犯罪を犯すこととの相互関係についての調査は、いろいろと試みられています。一例はアメリカのヘルナンデス氏による刑務所内の入所者に関する調査です。それによれば、実際に子どもポルノを受動的に視聴した人の76%が接触犯罪を犯していたというのです。研究の方法論にも違いがあり、調査結果も様々です。例えば、視聴した者の12%が実際の犯罪を犯すというものから、40%が犯すというもの、さらにはヘルナンデス研究におけるように、80%近くが画像を見るだけではあきたらずに子どもに対して接触犯罪を犯したというように幅のある調査結果が出ているのです。

(中略)

子どもが虐待を受けている画像は何も新しいものではありませんし、インターネット上だけではありません。しかし、インターネットに載せることで、より幅広く多量に流通されることになってしまいました。これが今までと大きく違う点だと思います。虐待画像にアクセスする人全てが皆同じ要因によって動機づけされてしまうというのは単純な議論だと思います。こういった画像は性的空想やマスタベーションを助ける目的のために収集されることが一番多く見られるかと思います。

被害者は常に実在の子どもたち

犯罪者である加害者の方に焦点を絞ってきたために、被害者になっている子どもたちの方をないがしろにしてきたのではないかという問題点があります。(中略)つまり一連の加害者・被害者がいる中で、被害者をないがしろにし無視するだけでなく、彼らのニーズに応えられないまま終わってしまっていたのではないかということです。(中略)つまり、実際の子どもを被害に遭わせているのではなく、写真を使っているだけであるというのです。しかし、実はこういった画像こそが性的空想や行動のために利用されているのです。そしてもう一つは、子ども自身が実際にこのようなポルノ画像を目にすることで被害に遭っているとも言えます。(中略)やっと最近になって、この点について焦点が当てられるようになりました。子どもを被写体とするだけでなく、子どもたちにこのような虐待画像を見せてしまう、配布を託してしまうということでも被害をつくりだしていると思います。

私どもの研究を通して更に見えてきたことは、より若年の子どもたちが自分自身を被害者にしてしまっていることです。携帯電話・インターネットなどを使って自分の画像を流すことによって、長期的にどのような結果を招くのか、どのような搾取をされてしまうのか意識しないまま、自ら被害者となってしまっている子どもたちも沢山いるのです。これも考えるべき問題です。]

(以上は、ECPAT/ストップ子ども買春の会作成:『ECPATシンポジウム インターネットと子どもポルノの被害 報告書』より一部抜粋)

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