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「道の相談室」突然閉鎖、道路財源5500万円投入

 国土交通省近畿地方整備局は、国道に関する苦情などを受け付けるとして、大阪の繁華街など3か所に開設していた「道の相談室」を閉鎖した。道路特定財源を原資に、天下り先の公益法人に年間約5500万円で運営委託していたが、訪問者は1日平均数人。国交省は、国会などで無駄遣いを指摘される同財源の使途見直しを進めており、同地整局は「効果が乏しく、国民の理解を得られないと判断した」としている。

 同地整局によると、相談室は、大阪・キタの地下街にある「北」、中央区のオフィスビルの一室を借り上げた「中央」、京都市下京区の「京都」の3か所。北と中央を2000年、京都を02年に開設し、毎年度、地整局OB約100人が再就職している社団法人「近畿建設協会」に随意契約で運営を委託していた。

 平日午前9時半〜午後6時、北と中央には協会職員が2人ずつ詰め、訪れた市民や電話、ファクス、メールによる相談に対応。京都は専従1人が訪問対応していたが、突然、今月11日を最後に一斉に閉鎖された。地整局は閉鎖を発表していない。

 06年度の相談件数は計約4500件で、1日平均20件。大半は電話だった。

 一方、協会への同年度の委託費は計5418万円。1件の相談受け付けに1万2000円の費用をかけた勘定になる。中央のオフィスビル賃借料は共益費などを含め月30万円だった。

 道の相談室事業は、道路への苦情、相談を道路行政に生かすことを目的に1998年度に始まった。全国36か所のうち、近畿を除く33か所は他の7地整局などの庁舎内に電話専用窓口として設置。大半はそれぞれの天下り法人に運営委託されている。事業費は、道路特定財源で賄われている道路管理費から支出されているが、国交省は「道の相談室事業だけを切り分けた資料がない」として総額を明らかにしていない。

 近畿地整局は、繁華街などに相談室を設けた理由について「目に見える形で道路をPRしようと考えた」と説明。閉鎖後も局庁舎内で電話相談を受け付け、近畿建設協会への委託は打ち切る方向で検討する。

 同協会理事長は旧建設省の元大阪国道工事事務所長。内部規定による年収(上限)は1952万円。

2008年3月17日  読売新聞)

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