障害者ら443人を人身売買
48歳男性ら5人逮捕・3人指名手配
今年1月、重度の知的障害を持つイ某さん(25)は、「月収200万ウォン(約25万6000円)から400万ウォン(約51万3000円)保証」という求人広告を見て、釜山・南浦洞の船員募集事務所を訪れた。そして生活難にあえいでいたイさんは、「いい仕事がある」という社員の言葉を信じ、全羅南道木浦市まで付いていった。社員は宿を取った上に酒もごちそうし、売春婦まで紹介してくれた。これに対してイさんは「本当にいい仕事を見つけたな」と思った。ところが社員らは間もなく、「酒代が500万ウォン(約64万1000円)かかった」と主張し、イさんに代金を払うよう強要した。イさんは仕方なく、借金を全額返済するまで船に乗るという覚書に署名し、同道新安郡の離島のエビ漁船の船員として500万ウォンで売られた。その後、あまりにもつらい仕事に耐えられず釜山へ戻ってきたイさんは、さらに数回にわたり、同じ手口で同道珍島郡など西海岸一帯に船員として売られた。
釜山海洋警察署は20日、こうした手口で2005年から最近まで船員募集広告を出して、事務所を訪れた443人に対して借金を強要し、エビ漁船や海苔養殖場などに売って約10億ウォン(約1億2800万円)を不正に稼いでいた疑いで、キム某容疑者(48)ら5人を逮捕するとともに、逃亡中の3人を指名手配した。
被害者は5人の障害者のほか、肺がんの末期患者、ホームレス、失業者などの社会的弱者が大部分を占めていた。これらの被害者は「海上で働きながら借金を返せ」という脅しを受け、4カ月から1年近くもの間、賃金をほとんど受け取れないまま働いていた、と警察は発表した。
キム容疑者らは、紹介費用や酒代などの名目で恐喝を繰り返し、船員の紹介に際して問題が発生すれば、自ら警察に届け出て軽い罰金刑を受けるという手口で取り締まりを逃れていたことが分かった。
海上警察署では、キム容疑者らにだまされ労働環境が劣悪な養殖場などで働かされていた障害者5人を家族のもとへ帰すとともに、他の被害者についての捜査を引き続き行っている。
釜山=クォン・ギョンフン記者
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