「覚書書かせ人権蹂躙」 40代風俗店業主を拘束
「自分が無断で店を辞めたり失踪するなどして、店に金銭的被害を負わせた場合、店側が本人を見つけるために捜索願いを出すこと、家を訪問すること、親戚および家族に会うこと、戸籍を閲覧することなど、人権侵害的な行動をしても、それを甘受することを確約します…法的問題にしません」
イ某(女性/24)さんは2003年10月、このような内容の覚書に署名捺印した後、前金500万ウォンを受け取って京畿(キョンギ)道・楊平(ヤンピョン)にある風俗店Jに就職した。
覚書には「人権侵害および捜索願い同意書」という題名が書かれていた。業主のキム某(女性/45)容疑者はこの覚書の他にも「前金履行の覚書」など、3種の覚書に署名捺印を要求した。
「前金履行の覚書」には、「本人の苦しい生活を助けた業主殿に感謝し…今後前金を返済せず、無断で店を移動する場合、業主殿が就職詐欺として告訴しても法の処罰を甘受することを確約します」と書かれていた。
また、ほかの覚書には取り締まりに備え、「売春関連の事件では店と関係がないことを認め、店に関する問題を提起しない」という文句も含まれていた。
業主のキム容疑者はこの覚書を使ってイさんを逃げられないようにした後、前金を早く返済するようにと催促した。イさんは前金を返済しようとしたが、各種の負担金のために借金ばかりが1300万ウォンに膨れ上がった。キム容疑者はイさんの車まで奪った後、売春を強要した。
イさんは業主の強要に耐え切れず、昨年2月、店から逃げ出し家に戻ったが、業主のキム容疑者から脅迫の電話が相次いだ。キム容疑者は覚書を手にイさん宅に勝手に押し入り、「借金を返せ」と脅迫した。
イさんは「覚書に法的效力がある」と思い、通報もできなかった。しかし、10か月以上も脅迫が続くと、耐えられなくなったイさんが昨年12月、警察署を訪ねた。
警察はキム容疑者の店を取り締まった結果、女性従業員91人から受け取った「人権侵害及び捜索願い同意書」、「前金履行覚書」、「現金借用証」などの覚書382枚を捜し出した。
キム容疑者はこの覚書が、まるで法的效力があるかのように見せかけ、女性従業員らの脱出を阻止し、売春を強要してきたと警察は明らかにした。
キム容疑者はあらかじめ内容をすべて書いておいた覚書に、女性従業員の署名と捺印をさせてきた。警察は「『人権侵害及び捜索願い同意書』だけでなく、事業主のキム容疑者が女性従業員からもらった『前金履行覚書』などもすべて、売春をさせる目的から作成したものであるため、法的效力がない」と明らかにした。
警察は25日、事業主のキム容疑者を性売買斡旋の容疑などで書類送検した。
金鳳基(キム・ボンギ)記者 knight@chosun.com
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