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【産経抄】3月16日

2008.3.16 03:30
このニュースのトピックス産経抄

 もう1年以上前に改正された教育基本法は、教育の目標のひとつとして、伝統や文化を尊重する態度を養う、と明記している。ところが、一部の教育関係者にはそんなことより60年近く前の文部省通達が大事らしい。それもとっくに失効となった通達である。

 ▼いきさつはこうだ。昭和24年、当時の文部省の事務次官による通達があった。子供たちの神社仏閣への訪問に関する内容で、特に靖国神社や護国神社を名指しして「訪問してはならない」と禁じた。GHQ(連合国軍総司令部)の意向によるものだった。

 ▼占領政策とはいえ「日本人の心を踏みにじる」として評判の悪い通達だった。それでも3年後に占領が終わり、GHQも姿を消したのだから、当然のごとく効力を失った。その通りなのだが、この通達が亡霊のようにまだ教育界をさまよっているというのだから驚く。

 ▼例えば6年前の長崎県議会で、児童生徒の戦没者追悼行事への参加に関する質問に県側は、この通達をタテに「ふさわしくない」と答えた。靖国神社に修学旅行生の姿がめったに見られないのも、通達が独り歩きしているせいだろうか。だとすれば唖然(あぜん)とする思いがする。

 ▼占領時の通達に意味がないことなど、常識でもわかる。それを後生大事に抱え、失効の有無を論じていること自体、滑稽(こっけい)な気さえする。しかしそんな古証文を利用して、子供たちが日本の歴史や伝統的考え方を学ぶ機会を葬り去ろうというのであれば困るのだ。

 ▼かつて関西の修学旅行先は圧倒的に伊勢神宮が多かった。だがその数は減ってきている。新教育基本法の理念と逆に、伝統や文化は子供たちの前から遠ざかっていく。戦後の教育が失い、取り戻さねばならないことは実に多いのである。

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