教皇パウロ六世 ｢替え玉｣ 説　(1)

(このページの画像は見易いように彩度とコントラストに若干補正を加えています。)

先日取り上げた These Last Days Ministries (以下、TLDM) というサイトは、｢教皇パウロ六世替え玉説｣ を次のような写真を使って説明しています。

左 - 教皇パウロ六世： 耳の形が教皇の替え玉 (詐称者) のそれとは全く違うことに注意して下さい。耳は小さな骨から成り立っているため形成手術が最も困難なものです。このことは二つの写真によって明らかです。
右 - 教皇の替え玉： 耳の形の違いばかりでなく鼻の短さにも注意して下さい。

上のような説明をされて、人はどう思うのでしょうか。
｢そんなことを言われてもなぁ。確かにそう言われてみれば違うようにも見えるけれども、今一つはっきりしない。それに、そもそも右の "替え玉" とされている写真はどこから引っぱって来たものなのか？ 雑誌か何かから？ それすらわからない。つまり、これは本当に『パウロ六世である』とされているものなのか？ 枢機卿の一人かも知れないじゃないか。｣
そんなところなのではないでしょうか。私もそう思っていました。

けれど、少し調べてみて、少なくとも ｢私にとって｣ 一つだけ確かになったことがあります。それは、右の写真は間違いなく "一般に" ｢パウロ六世を写したもの｣ とされているものだろうということです。
次の写真 (下の左) を見て下さい。これも TLDM にあった画像ですが (そのページ)、しかし元々はバチカン電話局が販売しているテレフォンカードの一枚です。次の場所で確認できます。バチカン電話局 - > テレカのリスト - > 38番
つまりこのテレカの写真は、バチカン自身が ｢これはパウロ六世教皇を写したものである｣ と認識しているもの、ということになるでしょう。

どう思いますか？

私は、この二人は同一人物だと思います。耳の形がよく似ています。そして鼻の形、眉間のシワと額の感じなどもそっくりと言っていいと思います。また着ているものも、襟元の形状とストラの柄がよく似ていて、｢ひょっとしたら同じ日に撮られたものかも知れない｣ と思うほどです。

ですから、少なくとも ｢私の中で｣ (あなたには押し付けません) はっきりしたのは、右の写真は TLDM がどこか不確かなところからいい加減に引っぱって来たものではなくて、一般にも、そしておそらくバチカンによってさえも、｢これは教皇パウロ六世である｣ とかつて認識された写真であったろう、ということです。

では、次に、この人物、バチカン電話局がテレカとして販売までしている写真のこの人物は、TLDM が主張しているように本当に ｢偽物の教皇｣、｢教皇の替え玉｣ なのでしょうか？
それを確かめるために、私達が ｢これは間違いなく教皇パウロ六世である、絶対にそうである｣ と信じて疑わない全く確実なる写真と、改めて比べてみたいと思います。

この二枚はだいたい同じ角度から撮られたものです。もちろん年齢の違いはあります。しかし、これは同一人物でしょうか？

右の写真は正に私達の知っているパウロ六世教皇様です。私達が間違いもなく自信を持って ｢これは教皇パウロ六世です｣ と言い切れる写真です * 。では、左の人物は？

( * 追記： ｢言い切れる｣？ ・・本当はそうでないのかも知れない。そんな ｢確実さ｣ なんて、本当はどこにもないのかも知れない。あれぇ、自信がなくなってきたぞ... )

どうも鼻の形も、耳の形も、違うように見えます。人間の鼻と耳は、加齢によって、あるいは生活環境によって、この程度の変化は受けるものなのでしょうか？

そして全体的な印象はどうでしょうか？ この二人は同一人物ですか？
整形外科医 (形成外科医？)、あるいは人相学や骨相学の専門家に訊いてみたいほどです。

右の写真もやはり TLDM が ｢替え玉｣ のものとして挙げているものですが、私はこの写真の方がテレカの写真の人物に似ていると思います。そしてこの写真は、まあ TLDM がどこから持って来たかは分からないけれど、とにかく全く教皇様に似ていないような気がします。これは本当にかつてヴァチカンによって、あるいは報道陣によって、｢教皇パウロ六世である｣ とされた写真なのでしょうか？ 何かの式典に ｢教皇パウロ六世｣ として立ち現われた人物を撮ったものなのでしょうか？
これはどちらも本当の教皇様で、つまり人は年齢によってこうなっちゃうんでしょうか？ (そうかも。やはりまだ迷う.. )

あと、これも一般に ｢パウロ六世教皇様の写真である｣ と認められているものに、次のようなものがあります。(左の上下は元は同じ写真ですが。)

まあ、ヨハネ・パウロ二世教皇様の場合だって、お若い頃の写真と晩年のご病状が進んだ頃の写真を持って来られれば、教皇様を知らない人はそれらが同一人物のものだとは思わないだろうけれども。

しかし、私はこれらの写真を見るにつけ、また他の若干の情報に触れるにつけ、｢やはりパウロ六世教皇様の時代には何かあったに違いない｣ と思わずにはいられません。