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「公正さ欠く」批判受ける露大統領選 旧ソ連時代の風習抜けきれず

3月14日13時16分配信 産経新聞


 ロシアで昨年12月に行われた下院選挙と今年3月の大統領選挙について、外国の選挙監視団から「公正ではなかった」との批判が出ている。いずれも、野党勢力の選挙活動が阻害されたのが主な理由だ。地域によっては、与党候補の得票率がほぼ100%を記録するなど不可思議な点もある。投票所では、プーチン政権を支持するボクシング元世界チャンピオンのサイン入り本がプレゼントされるといった例も。こうした背景には、ソ連時代に根付いた独特な選挙の風習がある。(外信部 佐々木正明)

 共産党一党支配のソ連時代にも、一応選挙は実施されていた。だが、それは事実上、共産党が推薦した候補者を信任するためのものにすぎなかった。

 選挙にあたり共産党は、党に忠実な若者を「宣伝員」に選んだ。宣伝員は各世帯に出向き、候補者を紹介し、党の政策を説いてまわった。「国民の義務を果たそう」と必ず投票に来るよう促し、有権者が担当地区に何人いるかチェックもした。

 投票日には、あらかじめ候補者の名前が書かれた投票用紙を箱に入れるだけだった。もし、その候補に反対なら、カーテンで仕切られた部屋で名前に×印をつけなければならない。選挙管理委員は誰が仕切り部屋に入るか常に見張っていた。

 選挙に行かなかったり、不信任投票することは「党指導部への攻撃行為」(英BBC・クレチェトニコフ記者)と見なされた。潜在的な反体制分子として、国家保安委員会(KGB)の監視対象にもなった。

 一方、病気で投票所に行けないお年寄りには、移動投票箱を自宅まで持っていった。そのため、ソ連時代の投票率は常に99%台で、候補者の信任率も99%を超えていた。

                   ◇

 昨年12月の下院選。チェチェン共和国でも投票率は99%、与党統一ロシアの得票率は99%台を記録した。プーチン支持のカディロフ大統領は自ら宣伝員のような役割を担っていたことを打ち明け、「事前に必要不可欠な手段を講じたため、選挙がうまくいった」と語っている。メディアは「ソ連型選挙に近い得票数だ」と報じた。

 ソ連時代、選挙はお祭りでもあった。投票所には正装した人々が集まり、普段はなかなか買えない食料品が売られていたり、党からのプレゼントもあった。投票所の近くではコンサートも開かれた。

 先のロシア大統領選挙でも、投票所で多種多様な催しが行われた。高級車が当たる宝くじの抽せん会や、投票者全員への商店街で使える割引券の配布、有名人のサイン入り本プレゼント…。散髪代が無料という所もあった。

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 これらの取り組みは、外国の選挙監視団から批判を受けても、ロシア国民からみれば伝統的な風習であり、何の違和感もないようだ。

 青山学院大の袴田茂樹教授は「今回の選挙は形式的で、ソ連時代の選挙に非常に似ている。国民は勝利が決まっている候補者に投票しに行き、同時に政治的無関心も抱いている」と指摘する。

 ただ、大統領選挙では、有権者の3割が投票所に出向かなかった。BBCのクレチェトニコフ記者は「選挙への不参加は意識的な行為であり、この数字こそ現政権への不満層の割合と一致する」と分析している。

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最終更新:3月14日13時16分

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