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【社説】韓国に嫁いだベトナム人女性へ一層の配慮を

 ベトナムのグエン・ミン・チェット国家主席(大統領)は30日、任洪宰(イム・ホンジェ)駐ベトナム韓国大使の信任状を受け取る際、「韓国に嫁いだベトナム人花嫁が苦労することのないよう、韓国政府や関係者の協力を要請する」と語った。またファム・テー・ズエット祖国戦線主席も水害義援金を渡すために訪れた任大使一行に、「韓国に住むベトナム人に対し、一層の関心と配慮をお願いしたい」と語った。

 今ベトナムでは、韓国人男性と結婚し、韓国で生活していたベトナム人女性が悲惨な生活を強いられているというニュースが大きな関心を集めている。今年7月には19歳のベトナム人妻が夫に肋骨(ろっこつ)18カ所が骨折するほどの暴行を受け、死亡するという事件が大田で起きた。また妻と偽装離婚し、子どもを産ませるためだけの結婚相手を探していた韓国人男性にだまされ、子ども二人をもうけたあとで離婚させられたベトナム人妻のケースも明らかになっている。こうした事件をベトナムのメディアが連日大きく扱っている中、韓国との関係を見直すべきだという主張も出てきているという。

 昨年韓国人男性と結婚した外国人女性を国籍別に見ると、中国の1万4450人が最も多く、続いてベトナムの9812人、フィリピンの1131人、モンゴルの559人という順になっている。中国国籍の女性はその多くが朝鮮族であることを考慮すると、事実上ベトナム人が最も多いことになる。しかもその数は年ごとに急ピッチで増加している。

 だが韓国ではベトナム人をはじめとする多くの外国人妻が、貧困や暴力、虐待、差別に苦しんでいる。米国国務省は人身売買に関する報告書の中に、韓国の国際結婚仲介業者が掲げた「ベトナム人女性は決して逃げたりしません」という看板の写真を掲載した。また国際移住機関(IOM)は韓国人男性と結婚するベトナム人女性に対し、出国前に事前教育を行うことを決めた。中でも今回のように、ベトナムの最高指導者が韓国政府に対策を要請するのは異例のことだ。このニュースに接した国民は、非常に恥ずかしい思いをしたのではないか。

 国会では現在申告制となっている国際結婚仲介業を許可制に切り替え、管理を強化する内容の法案が審議されている。この法案の早期施行を実現させるだけでなく、外国人花嫁をめぐる法的、制度的な整備を急ぐべきだ。何よりも国民には、韓国人と結婚して韓国に来たからには、外国人花嫁もこの国の立派な構成員であるという認識が求められる。

 われわれは、韓国社会の事情と必要性によって迎え入れることになった人たちを決して不幸にしてはならない。自分の娘が嫁いだ先でないがしろにされ、虐待される気持ちを想像すれば、それがどれだけ耐え難いことか分からない人はいないはずだ。

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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