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2008年3月12日発行
 
現代版 人身売買
 



04年「性売買特別法」施行後
学生ら安易な考えで海外に

 韓国人女性の売春が韓国国外で急増している。韓国では04年に、売春行為を取り締まる「性売買特別法」が施行された。これによって居場所を失ったゆえの“海外遠征売春″なのか。売春行為が法で認められているオーストラリアなどのほか、近距離の日本でも急増している。“遠征売春″は金銭トラブルなどで人身売買につながるケースもあるようだ。韓国側の取締当局は、「それ以上に問題なのは、プロではなく学生や主婦が売春を承知で海外に出かけていることだ」と頭を抱えている。
(崔世一)
 今月8日、オーストラリアのシドニー市警に10人の韓国人女性が保護された。彼女たちは1日20時間以上も売春行為を行っていたという。
 AFP通信によれば、売春組織は甘い労働条件で女性たちを誘い、偽造旅券を与えてオーストラリアに入国させたとみられている。入国すると彼女たちは旅券を取り上げられた上、想像以上の過酷な条件を押しつけられたという。
 韓国の警察庁外事局関係者は、「性売買特別法」で国内に居場所をなくした売春婦だった可能性が高いとみている。
 「たくさん稼げるという甘い話に乗って遠征売春に出かけても、密入国にかかった偽造旅券などの“斡旋料”や、現地で思いのほかかかった生活費などがかさみ、売春組織からの借金が雪だるま式に増えていく。だが、それこそがブローカーの真の狙いで、彼女たちを底なし沼に誘う。早い話が現代版の人身売買だ」
 韓国の警察庁関係者は、こうしたケースは逆にめずらしいという。
 「確かに、性売買特別法の実施により、国内の売春婦が海外に流れたのは事実だ。しかし、最近は、外国語取得とカネ稼ぎを目的に、売春を承知で海外に出る女子大生や主婦のほうがはるかに多いのではないか」
 韓国の警察庁外事局国際犯罪捜査隊は2月、これまで1500人もの韓国女性に海外での売春をあっせんした組織を摘発した。ブローカーたちは「働きながら外国語を学べる」という言葉で女性たちを募っていた。
 韓国の女子大生が好む国は、英語圏のオーストラリアやカナダ、米国などだ。最近ではしかし、カネを稼ぐ目的で日本にやってくる学生や主婦が急増しており、彼女たちは売春が手っ取り早い稼ぎ手段と簡単に割り切っているようだ。日本はターゲットになりやすい。距離的に近いことや、オーストラリアなどに比べてブローカーの仲介料が安いからだという。
 都内のある韓国デリバリーヘルスの店長の話だ。
 「昔はブローカーに騙され売春をさせられることがあったかもしれないが、今は自ら望んで日本にやってくるケースが増えている」
 ビザを必要としない日本への渡航。不法滞在で取り締まりに遭ったことがなく、犯罪歴もない学生や主婦は、入国には何の問題もない。密入国する必要もなければ、偽造旅券を所持する必要もない。ブローカーの仲介料はしれている。店の紹介料や空港まで迎えにきてもらう手数料くらいだ。
 「1週間働いてブランド品を購入して帰国する人もいれば、3カ月で1年間の学費を稼ぐ人もいる」と言うのは、前出のヘルス店長だ。
 問題は、韓国や日本政府が、こうした実態を把握しきれていないことだ。今年3月、警察庁が発表した「来日外国人売春防止法違反検挙状況」をみると、韓国人の場合、07年の摘発件数はわずか25件にすぎない。前年比では、67.9%も減少している。警察庁関係者は「増加しているとの認識はない」との見方を示している。現代版人身売買ともいえる実態に、日韓両国の警察が迫りきれていないのは事実だ。

 性売買特別法 売春斡旋などの行為の処罰に関する特別法。04年から施行されている。人身売買、売春の強要、売春の広告行為に対する厳しい処罰を主な内容としている。特別法は暴行や監禁、人身売買などにより売春を強いられていた被害女性たちを救うために制定されたが、売春婦からでさえ歓迎されなかった。彼女たちは「売春を職業として認め、生存権を保障せよ」と訴えていた。


「短期間で稼げる」

 これまで、韓国人女性が短期間のうちに稼げるところといえば、“コリアンクラブ”だった。今では店舗を持たない“デリバリーヘルス”で働くケースが多い。駐在員など韓国人がよく訪れるコリアンクラブに比べ、人目につくことも少なく、摘発されるリスクも小さい。万一、摘発されても、“恋人同士”で通せる。韓国人女性に限った話ではない。日本では最近、主婦やOLの“援助交際”が盛んになっており、ビジネスホテルが頻繁に利用されているという。

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