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映画「靖国」に文化庁系独法が750万円助成 自民党から異論噴出 助成金の見直しも
4月12日に公開される映画「靖国 YASUKUNI」(李纓監督)が文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」から750万円の助成金を受け取っていたことが13日、分かった。自民党内からは「政治的宣伝意図を有しない」との助成要件を満たしていないとの見方が出ており、党伝統文化調査会で助成制度のあり方を検討する方針だ。
「靖国」は、李監督が10年をかけて靖国神社境内などで撮影した映像を元に、かつて境内で造られていた「靖国刀」の刀匠に焦点を当てたドキュメント映画。日本芸術文化振興会は昨年4月、政府出資金を運用する芸術文化振興基金から750万円を助成した。
振興会は(1)政治的、宗教的宣伝意図がない(2)日本映画であること−を助成条件としているため、自民党若手議連「伝統と創造の会」(会長・稲田朋美衆院議員)が文化庁に助成の妥当性を問い合わせたところ、配給・宣伝会社「アルゴ・ピクチャーズ」は12日夜、都内で与野党議員向けの特別緊急試写会を開催。国会議員約40人が参加した。
試写会を受けて、「伝統と創造の会」と、別の自民党議連「平和を願い真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会」(平和靖国議連、会長・今津寛衆院議員)は13日、自民党本部で合同で会合を開いた。
会合では、作品中で小泉純一郎元首相の靖国神社参拝違憲訴訟の原告2人の主張が取り上げられていることなどに異論が出た。
また、作品が中国の映画製作会社と共同製作となっていることなどについても「日本映画といえるのか」(西田昌司参院議員)という疑問の声が上がった。
これに対し、日本芸術文化振興会と文化庁の担当者は「ドキュメンタリーなので、いろいろな見方があるのでやむを得ないが、助成手続きは適正だった」と説明している。
会合後、稲田氏は「憲法で保障された『表現の自由』があるので、映画の内容を論評する気はないが、靖国神社という政治的な題材を扱った映画に政府関係機関が助成したことは疑問だ」と語った。