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外来管理加算見直し 中小病院経営を直撃か
青森の公的12病院の影響調査で
2008.3.10
2008年度診療報酬改定で見直される外来管理加算をめぐり、いわゆる「5分ルール」をクリアできず、病院経営が圧迫されるという懸念が地方の医療者の間で広がっている。青森県内にある中小規模の公的12病院の影響度調査で、外来管理加算の算定可能割合が最低で5%程度となり、金額ベースでは最大月間約2080万円の減収を見込む病院もあることが分かった。同様のダメージは、手厚く評価されるはずの小児科医療機関にも及ぶとしている。
影響調査は青森県保険医協会が2月21〜28日に、県内の200床未満の公的病院18施設を対象として実施。12施設の回答を集計した。分析した医療政策部長の大竹進氏は、「5分ルールの導入で医療崩壊がかえって加速する」としている。
調査方法は、現在算定している月額の外来管理加算を算出。5分ルールの導入後も、引き続き外来管理加算を算定できる割合を予想してもらう形で、影響度を試算した。カルテの記載形式についてはSOAP形式(Subject:自覚的症状、Object:他覚的所見、Assessment:評価、Plan:計画)で入力という条件を設定。病院の名称は公表していない。
それによると改定後の予想額まで回答した10病院では、すべて減収という結果になった。減収額が最多のA病院では月間約2080万円のマイナス。病院の外来管理料(52点、老人47点)は4月以降52点で一本化され、老人分が増収要因にはなるものの、A病院では外来管理加算収入が現行約4320万円から約2250万にほぼ半減する見通しだ。
外来管理加算の算定割合では、最低で5%にとどまるという予想も2病院から示された。現行の8割程度は算定可能としたJ病院も月間約290万円の減収になると予想する。
● 改定の意図と現場の実情
外来管理加算は、処置やリハビリテーション以外の医学的管理を行う。主に内科系の医師の技術料と位置付けられる。診療所と200床未満の病院の再診料に上乗せできるが、4月実施の診療報酬改定では、「医師が実際におおむね5分を超えて直接診察を行っている場合に算定できる」とルールが変更される。中央社会保険医療協議会では、患者が医療サービスの内容を実感しにくいという論点が示されていた。
継続的な治療が必要な慢性疾患患者を、医師が、病状説明などを丁寧に行うなどして支援することを評価するための見直しだが、一方で、外来の減収につながるとの意見もあり、そうした懸念が現実となった格好だ。
5分ルールをめぐっては、回答病院から、「さまざまな工夫をして十分な診療を行おうとしている多くの医師の気力を削ぐ」といった意見も寄せられた。医師不足が深刻になる中、少ない医師が外来患者に対応するため、看護師らが事前に問診するといった工夫が認められなくなることへの疑義も示された。5日の医療課長通知は、「医師が実際に5分を超えて直接診療を行っている場合」に算定できるとの解釈を提示。問診も医師が行うべきとした。
青森県保険医協会では調査対象地域を東北ブロックに拡大して影響度調査を実施中。45病院までの中間集計では、5分ルールが算定可能としたのは2病院。増収に転じるのはわずかに1病院だった。大竹氏は、さらに拡大して全国調査を行うことも検討しており、エビデンスを収集して“見直しの見直し”を求める考えだ。
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