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2008/03/11 の記事

□ 不正流用続々と発覚 大阪市裏金問題
□ 府民ニーズを市場調査 「政策チーム」発足
□ 職務専念義務違反44人 職員証を貸し借り
□ 南京大虐殺が生んだ「心の闇」 臨床心理士ら講演
□ 自然学習や憩いの場に ビオトープ完成し植樹
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不正流用続々と発覚 大阪市裏金問題

 大阪市の裏金問題で、市が十日発表した全庁調査の報告書。裏金は少なくとも計二億八千百二十万円に上り、公費では支出され得ない「不正な流用」も続々と発覚した。

■92万円を支出

 東住吉区役所では、市の調査で見つかった裏帳簿によると、市職員労働組合(市職)へ約九十二万円が支出されていた。市職は、元支部役員らの聞き取りなどをした結果、うち約六十二万円分について支部が所有する輪転機を区役所に貸して印刷代などとして受け取っていたと認めた。備品の購入などをしたこともあり、「会計処理が不適切だった」とした。

 金銭出納簿には「組合」や「支部」などの記載で、一九九五−二〇〇一年に十一件約九十二万円分の支出があった。(衆)(補選)などと併記されている項目もあり、選挙事務にかかわる書類などを印刷したという。

 ただ、二件三十万円については領有書がなく「受領は確認できなかった」としている。

 市職は受け取っていたと認めた分を、利子を含め返還する方針。

■府警絡みも

 懇親会や打ち上げ、ビール券の購入など職員の飲食費や、市条例にはない不正な「手当」に充てられているケースもあった。

 大正、東住吉両区役所の選挙担当は、出入り業者から入手した白紙の領収書を偽造するなどして裏金をつくった。

 裏帳簿によると、東住吉では飲食費が少なくとも計約二百四十万円、選挙事務で残業した管理職への手当が約四十五万円支出されていた。大正区では飲食費が約四十三万円に上り、手当は「課長級御礼」(十八万円)など。「警察との合同会議」や「警察謝礼のビール券」などと記された大阪府警大正署との飲食費や謝礼名目の支出もあった。

 また、東淀川区役所の人権生涯学習担当では、人権啓発推進事業への委託経費を不正に保管。チャリティーゴルフコンペへの参加費やコンサートのチケット購入、職員同士の飲食費などに充てていた。

■選挙事務職員への支出

 大正、住之江、東住吉、平野など七区役所の選挙担当では、投票日前日から宿泊していた職員への朝食代や自動車で出勤するときのガソリン代などが支出されていた。

 



府民ニーズを市場調査 「政策チーム」発足
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橋下知事の話に耳を傾ける政策マーケティングリサーチチームのメンバー

 民間企業の手法を取り入れながら大阪府民のニーズを市場調査する府の「政策マーケティングリサーチチーム」が十日、発足した。施策の費用対効果を重視する橋下徹知事の肝いりでつくられた組織で、効果的な政策づくりに役立てるため、積極的に府民ニーズをとらえていく。

 チームは府政策企画部内に設置された。メンバー四人はすべて男性で、三十七歳から五十歳までの職員が同部企画室や産業開発研究所から選ばれた。民間の市場調査の手法を吸収しながら、行政に合った調査方法を確立。これまで以上にきめ細かく、スピーディーに府民のニーズを把握していく。

 チーム発足に当たり、橋下知事は「戦略的に情報を取りに行くのが皆さんに課せられた最大の使命。ぜひ成功させてください」とメンバーを激励した。

 



職務専念義務違反44人 職員証を貸し借り

 大阪市建設局の下水道センター職員が「カラ残業」工作を断った同僚にけがを負わせた事件を受け、職員の不正な勤務実態について全職員の聞き取り調査を行っていた市は十日、少なくとも四十四人が所定の手続きを取らずに職場を離れる職務専念義務違反を犯していたと発表した。このうち二人は健康福祉、環境両局の部長級職員だった。

 職場を離れた理由は通院(十八人)や葬儀(六人)、買い物(五人)など。同様の行為を見聞きしたことがある職員も八十人おり、今後、事実関係を調べる。

 また、カードリーダーにかざして出退勤時刻を記録する職員証を貸し借りし、代理打刻した職員も三十八人いた。

 代理打刻の理由は、自分で打刻する手間を惜しんだ(七人)▽出勤の際に遅刻しそうになった(六人)▽市内出張の際に直接帰るため(四人)−などで、職務専念義務違反に当たるかどうかは今後調査するという。代理打刻や不正打刻を見聞きした職員は三十三人だった。

 市はカラ残業の防止策として、二〇〇六年からカードリーダーのシステムを導入。職員証の貸し借りを規則で禁止している。

 下水道センター職員の事件をめぐっては、職員証を預けてカードリーダーへの不正打刻を行っていたとみられるが、同様の手法で超過勤務手当を不正受給したケースは確認されなかったという。

 今回の職務専念義務違反者の懲戒処分や給与返還は、事実関係の精査後に行う。

 



南京大虐殺が生んだ「心の闇」 臨床心理士ら講演
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「南京大虐殺と向き合うことが、日本社会の心の回復につながる」と訴える村本さん(右)

 日中戦争時に日本軍が中国・南京で虐殺行為をした歴史が、自傷行為などに及ぶ現代の若者の「心の闇」につながっていると考える臨床心理士らが四日、対応策について語る講演会を東淀川区東中島五丁目のアジア図書館で開いた。現地での対話が、心の機能の回復に役立つという。

 講演会では、臨床心理士の村本邦子さんが、ベトナム戦争など社会レベルで起こったトラウマ(心的外傷)が親世代に起こると、家族システムを通して子孫が情緒障害などの症状に悩まされ、社会全体が病んでいくという研究を紹介。日本でもその症状が見いだせることを指摘した。

 小学生のスクールカウンセラーや大学教授として各世代と接する中、表面的なトラウマはないにもかかわらず、感覚まひに陥った子どもがみられ、「世代を追うごとに状況が悪化している」という。

 これまで村本さんは、親から性虐待を受けた女性のトラウマをめぐり、過去と向き合ってもらうことで、長く閉ざしてきた感情や、生きる実感を取り戻す過程などを目の当たりにしてきた。

 子どもを含め、日本の社会全体が心の問題を克服するためには、個人レベルのときと同様、過去と向き合うことの必要性を強調。その手法として、日本の加害者としての象徴的事件、南京大虐殺の現場に足を運んだという。

 南京では、感覚まひを起こしながら虐殺を行う日本兵の存在を実感。敗戦後はこうした大人が日本を再興したことなどに気付きながら中国人と交流し、素直な気持ちで謝罪の言葉がでたという。

 「日本の感覚まひを解くにはこれしかない」。村本さんは「敗戦後、日本は物質的豊かさを優先し、心の問題を後回しにしてきた。今こそ心の見直しを進めなければならない」と強調していた。

 



自然学習や憩いの場に ビオトープ完成し植樹
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ビオトープの周りに記念植樹をする生徒ら

 創立三十周年を迎える豊中市熊野町三丁目の市立第十五中(北野隆司校長)で、生徒や地域住民らが整備したビオトープの完成式が五日行われ、記念植樹などで完成を祝った。

 ビオトープには池、水路でつながった水田、池の周囲に植え込みがあり、全体の広さは約二百四十平方メートルで、整備前と比べると約三倍の広さになった。メダカやミズバショウなどの動植物を観察でき、自然学習や憩いの場として活用する。

 同校は自然環境を残そうと創立二十周年に当たる一九九九年にビオトープを作成。再整備などを繰り返し、昨年十一月から、生徒や地域住民などが池の形成や植生の再生、水田作りなどに取り組んできた。

 完成式には在校生のほか、これまでビオトープ整備に携わった卒業生や地域住民、協力企業や協会の関係者などが出席。池の周りにシダレザクラ一本とコバノミツバツツジ十五本の植樹を行った。

 生徒会役員で二年生の土井寛人さん(14)は「多くの人の協力で完成してうれしい。地域の人にも、この小さな自然を楽しんでもらえたら」と話していた。

 





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