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【社会】

中国「温室ガス削減、先進国の義務強化を」 「ポスト京都」、米と対立鮮明

2008年3月10日 朝刊

 京都議定書に定めのない2013年以降の温室効果ガス排出削減の国際枠組み「ポスト京都」の議論のため、3月下旬からバンコクで開く特別作業部会の初会合に向け、米国や欧州連合(EU)、中国などが気候変動枠組み条約事務局に提出した意見書の内容が9日、明らかになった。

 中国は先進国の削減義務の強化と資金援助の大幅拡大を主張し、主要途上国の対策強化を求める米国と真っ向から対立。先進国間でも削減目標をめぐり意見が大きく異なることが鮮明になり、2009年末までの合意を目指した交渉は、波乱含みのスタートとなる。

 意見書の中で中国は、議定書を批准していない国も含め、先進国は20年までに1990年比25−40%以上の排出削減が必要だとする一方、「途上国の削減策は、各国の事情に応じてなされるべきだ」と主張。さらに「先進国は現行の政府開発援助(ODA)に加え、毎年国内総生産(GDP)の0・5%以上を途上国の気候変動対策に支出すべきだ」と先進国の責任を強調した。

 これに対し米国は「08年の状況は(条約が採択された)1992年とは異なり、世界的な排出や経済発展の状況を考慮すべきだ」と指摘。効果ある合意のためには、すべての主要排出国の貢献が不可欠だと、中国などの途上国をけん制した。

 具体的な削減目標では、鉄鋼や発電などの産業分野ごとに削減目標を決める手法を「強く支持する」と主張。「先進国が20年までに90年比25−40%の削減を真剣に検討する」としたEUとの意見の違いも鮮明になった。

 日本は国内調整が進まず意見提出が遅れていたが、世界の排出量を今後10−20年で減少に転じさせる必要があり、部門ごとの削減量を積み上げて国別の削減目標をつくるべきだとの内容の意見を週明けに提出する。

 【ポスト京都の特別作業部会】 議定書に定めのない2013年以降の地球温暖化対策の枠組みを議論する場として設置された、気候変動枠組み条約の下の作業部会。昨年、インドネシア・バリ島での同条約第13回締約国会議で創設が決まった。京都議定書を批准していない米国や、議定書では削減義務を負っていない中国などの発展途上国を含む全締約国が参加し、09年の合意を目指している。3月末から4月にかけてバンコクで開かれる初会合に、各国が意見を提出する。

 

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