■「中央調査報(No.575)」より(世論調査分析)日本人の「好きな国・嫌いな国」
■「支持政党別」で見ると多数の突出値が
98年4月調査からは、居住地区(政令市、市、町村)、男女、10歳単位の年齢階層、職種、学歴、さらには支持政党とのクロス分析データが蓄積されている。
あまりにも膨大なデータであり、ここでは01年1月と、05年6月の中国と韓国についてのみ比較した。
01年1月の好中派は12.4%。クロス分析で突出した値が出たのは公明党支持者の23.0%と社民党支持者の17.1%だ。同月の嫌中派は15.9%だが、自由業・管理職では26.8%だった(自由業・管理職の回答は、しばしば「先行指標」となる)。また、民主党支持者でも25.0%だった。逆に社民党支持者では8.6%の低率だった。
05年6月は、反日デモも一段落していたが、好中派は5年半前の3分の1以下の4.0%に激減。そのクロス分析では社民党支持者の13.3%と共産党支持者の12.5%が突出している。
同月の嫌中派は、98年4月のほぼ3倍の43.6%に拡大。農林漁業従事者では51.4%、自民党支持者では57.4%、民主党支持者では55.4%が嫌中だった。また高学歴層ほど嫌中の比率が高かった。
一方、韓国の01年1月は好韓派が5.5%。クロス分析で突出値が出たのは公明党支持者16.4%、共産党支持者9.8%、20歳代8.1%。
この時の嫌韓派は16.0%。民主党支持者では26.4%、労務職では20.9%だった。
05年6月の好韓派は4.8%だが、公明党支持者に限定すると13.0%の高率だった。「中年」「女性」に好韓派が特に高いというデータは、過去1年半ほど見ても出てこない。
同月の嫌韓派は23.5%。老高若低の傾向があり、自民党支持者では32.4%の半面、社民党支持者では13.3%と低かった。
どこの国が好きか嫌いかは、やはり政党の対外路線と密接に絡んでいるのだろう。
■「嫌」合計値が増加する不気味
前述の通り、この調査は好嫌国を3カ国まで挙げてもらっている。従って、回答者全員が3カ国を挙げれば、好○派、嫌○派とも毎月の合計値は300%になる。しかし実際には「なし」回答がある。1カ国しか挙げない人もいる。好○派合計の通算平均は166.8%であり、「好きな国なし」の平均は31.9%だ。「好きな国あり」の回答者は平均2.4カ国程度挙げた計算になる。
嫌○派合計の通算平均は129.3%。「嫌いな国なし」のそれは38.8%だ。
通算平均で言えば、そういうことだが、これらの数値も波打っている。山あり谷ありと言うよりは、高潮の観測曲線のように変動している。
70年代前半は好○派、嫌○派とも合計値が少なく、「好きな国なし」「嫌いな国なし」の回答率が高かった。この時代の日本人は精神的に満ち足りていたのだろうか。それとも無気力だったのだろうか。
04年後半からは、いわば“北朝鮮効果”で、嫌○派の合計が急上昇し、05年5月には179.0%と過去最高値を記録した。
北朝鮮、中国、韓国を「嫌いな国」として挙げた比率の合計は、ここ1年間に限定すると130.5%。日本人の「嫌○派」合計の8割に当たる。
調査開始以来、好○派合計値が嫌○派合計値を下回った月は1度もないが、05年4月には、その差が9.2%まで接近した。嫌○派合計値が好○派合計値を上回る時、日本社会のトータルな心理状態は変わるのか、どうか。この調査のウォッチを続けたい。
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