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【静岡】

『中越沖』例に耐震性問う 浜岡原発訴訟 原告団が控訴理由書提出

2008年3月11日

 中部電力浜岡原発(御前崎市)が東海地震によって大きな被害を受けることで被ばくする危険があるとして、地元住民らが同原発1−4号機の運転差し止めを求め、一審で請求を棄却された訴訟で、原告団は10日、控訴理由書を東京高裁に提出した。新潟県中越沖地震(昨年7月)による東京電力柏崎刈羽原発の被害状況などを柱に据え、耐震性を厳しく問う内容。控訴審の第一回口頭弁論は5月にも行われる見通し。

 約400ページの理由書では、柏崎刈羽原発について「制御棒が引き抜けなくなるなど3000件以上の故障、損傷が見つかっている」とした上で「原子炉停止は偶然で、重大事故と紙一重だった」と主張。

 判決で「安全性が確保されないという具体的な根拠は、原告側が示すべきだ」とされた立証責任論についても「これまでの判決例のいずれの判断とも異なり、極端に事業者側に有利」と批判した。

 一審判決後の昨年12月、新耐震設計審査基準に基づき中電側が提出した浜岡原発3、4号炉の再評価報告についても指摘。プレート境界面の深さを従来の「20キロ」に対して「14キロ」と浅くし、一審の原告主張に近づいた半面、総合的な影響は従来と同程度に見積もった点に「判決の誤りを明らかにする一方、欠陥がある」と疑問を投げかけ「通常の東海地震を上回る地震動が起こる可能性も否定できない」と強調した。

 理由書提出後、都内で開いた記者会見で河合弘之弁護団長は「一審は中越沖の被害を反映せず、非常にずさんな判決だった」とあらためて批判。原告団代表の白鳥良香さん(75)も「地元の裁判所不信を払拭(ふっしょく)する判決を出していただきたい」と強調した。

 静岡地裁で差し止め請求が棄却された昨年10月26日、差し止めの仮処分申請却下の即時抗告と併せて控訴していた。理由書の提出に4カ月以上を費やした点について弁護団は「中越沖地震の国の見解が出ておらず、今回も中間的な内容」と説明、調査の進展に伴い今後もデータなどを追加する考えを示した。

 

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