ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン長野> 記事

残留孤児訴訟 長野地裁でも訴え取り下げ

2008年03月08日

写真

 県内外の中国残留孤児と遺族79人が1人あたり3300万円の損害賠償を国に求めた訴訟の第12回口頭弁論が7日、長野地裁(近藤ルミ子裁判長)であり、国民年金の満額支給などを盛り込んだ改正中国残留邦人支援法の成立を受けて、原告側が訴えを取り下げた。04年4月の一次提訴から始まった県内の訴訟は、これで終結した。

 この日は提訴取り下げに先立ち、原告側が意見陳述をした。

 弁護団長の下平秀弘弁護士は「普通の日本人と同じ生活をしたいという、ささやかな望みさえ実現できない孤児たちの人権回復のための裁判だった」と、これまでの訴訟の意義を強調した。

 日本語が満足に話せず、日本社会になじめない孤児の現状に触れ、「日本人として尊厳の保たれる老後保障を勝ち取ることができた」と新支援策を評価した。一方で「預金の額によって支援の対象とならないなど問題があり、尊厳の回復は道半ば」とし、原告団は解散しないと述べた。

 原告団副団長の石坂万寿美さん(65)=松本市=は「訴訟がなければ新支援法はありえなかった。やっと日本人として正々堂々と胸を張って生きていくことができる」と通訳を介して語った。

 閉廷後、原告団は長野市内で報告集会を開催。原告団長の清水巌さん(67)=長野市=は「新しい支援策も完璧(かん・ぺき)なものではない。よりよい支援策を今後も求めたい」と話した。

 長野県は飯田・下伊那を中心に全国で最多の約3万4千人の開拓団を、旧満州(中国東北部)に送り出した。全国で15地裁に同様の提訴があり、残留孤児約2500人のうち9割の約2200人が原告に加わった。(柳川迅)

ここから広告です
広告終わり

このページのトップに戻る