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【主張】高齢者医療 問題点を直視し改善図れ

2008.3.10 02:32
このニュースのトピックス主張

 75歳以上が原則全員加入する「後期高齢者医療制度」が4月からスタートする。医療費の一定割合(当面10%)を高齢者自らの負担とするため、保険料(全国平均で月約6000円)は全員に求める。使った医療費が多い都道府県ほど保険料が高くなる仕組みも導入し、同所得でも住むところで保険料が異なるようにしたのも特徴だ。

 給付と負担の関係を明確にすることで自らが使う医療費に目を向けさせ、医療費抑制につなげようとの考えだ。高齢化社会で医療費のさらなる伸びが予想されるだけに、高齢者に応分の負担を求めるのは当然だろう。

 ただ、高齢者に不安が広がっていることにも留意すべきだ。低所得者には段階的な割引を適用する。扶養家族として保険料を免除されてきた約200万人は新たな負担となるが、加入時から2年間は軽減される。だが、こうした減免措置は国民に浸透しているとはいえない。厚労省は制度をもっと理解してもらう努力が必要だ。滞納が続き必要な医療を受けられない人がいないか、高齢者の生活への影響を細かく把握し検証することも求めたい。

 若者世代の人口が減れば、高齢者の負担が増える仕組みが導入されたことも懸念材料だ。少子化と高齢者医療費の伸びで、保険料が上がり続けることも予想される。極端な引き上げにならぬルールづくりも急ぐべきだ。

 受けられる医療がどう変わるかも不透明な部分が多い。新制度では入院から在宅治療に転換を図るため、患者から指名された主治医が外来から入院、在宅治療まで一貫してかかわる。容体が急変したらすぐ再入院させる。

 だが、切れ目なく質の高い医療を実現するには、病院と開業医、介護関係者ら専門家の連携が不可欠だ。日ごろの意見交換はむろん、住民への説明会を開くなど地域全体で高齢者を見守る態勢を作らなければスムーズにはいかない。核家族化で独り暮らしの高齢者も増えている。医療と介護を受けられる施設の整備も急がれる。

 野党4党は今国会に廃止法案を提出した。地方議会では凍結や見直しを求める意見書が相次いで採択されている。厚労省はこうした声に真摯(しんし)に耳を傾け、制度をより良くする努力を続けなくてはならない。

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