長谷部左半月板損傷、手術なら前半戦絶望

2008年3月9日（日）09:57

(日刊スポーツ)

　楽天のルーキー長谷部康平投手（２２＝愛知工大）が、左ひざ痛のため、開幕ローテーションから外れることが８日、分かった。２日ロッテ戦（長崎）の１回、一邪飛を追う際に負傷。７日に名古屋市内の病院で検査を受け、左半月板損傷と診断された。手術の可能性もあり、その場合は前半戦絶望という。キャンプ中には優勝宣言まで飛び出していた野村克也監督（７２）は、期待のルーキーの離脱に「最下位決定だな」とショックを隠せなかった。

　７日の夜だった。神戸から名古屋に移動した野村監督の元に、悲しい知らせが届いた。長谷部の左ひざの検査結果は、想像を超える重傷だった。半月板損傷。２～３週間経過を見て、痛みが引かなければ、手術の可能性が出てくる。その場合、復帰は球宴明けになる見込み。前日までは楽観視していたこともあり、この日の中日戦を回避し、１６日のヤクルト戦で登板し、開幕カードのソフトバンク戦に先発する予定だった。しかし開幕どころか、最悪のケースは前半戦絶望。さらにはアジア最終予選ではアマで唯一代表入りしていたが、北京五輪への出場も厳しくなってくる。

　野村監督は、ナゴヤドームに入るなり、ボヤキっぱなしだった。試合前のベンチで「長谷部、早くて７月、オールスターまでダメだって。手術をすれば早いけど…。選択を迫られてるって。２年連続新人王、パ～だよ。ついてないよ」と、ガックリしながら告白。負けた試合後は「ドミンゴを前にして、（抑えは）小山で我慢か…」と、ストッパー候補のドミンゴを先発にする配置転換の構想を明かした。さらに「ソフトバンクはいい左打者が多いから、なおさら長谷部と思っていたのに…。最下位決定だな」と、やけくそ気味の笑みを浮かべ、ボヤキ倒した。

　信頼の分、ショックは大きかった。故障したロッテ戦で５回無失点と好投し「新人王、狙ってもらいましょう」と封印していたベタ褒めを解禁。実は以前にも「いいのはマー君と長谷部だけだよ。２人で１４０試合、投げさせられないかな」と、若き２人への厚い信頼を明かしていた。

　突然の離脱に、心配は募るばかり。７日の阪神戦前に会談した岡田監督は「いつも『選手をくれ、くれ』と言うのに、今年は言わなかったぞ。よっぽど自信もっているんとちゃうか」と野村監督に余裕を見いだしていた。ところが、指揮官は会見で「中日担当（記者）いないか。中日は投手、余っているだろ。聞いてくれ」と、冗談交じりに訴えた。

　この日の長谷部は、別メニューで、上半身中心の調整を行った。キャッチボールもしたが、遠投すると痛みが出るという。「痛みはだいぶ、引いてきました。やってすぐは歩いても痛かったんですけど。今は歩いても平気なので」と、手術を回避することに望みを託した。集大成の年に躍進を期す野村監督を、突然襲った試練は、あまりに大きい。【金子航】