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日本人で万能細胞作製へ 皮膚や胃から 山中教授

2008.3.8 22:51
山中伸弥教授山中伸弥教授

 さまざまな組織に成長できる万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を開発した京都大の山中伸弥教授が8日、川崎市で講演後に記者会見し、日本人の皮膚細胞などからiPS細胞を作製するため、京大の倫理委員会に申請したことを明らかにした。

 皮膚のほか、胃粘膜や血液、へその緒に含まれる臍帯血(さいたいけつ)を使う。山中教授が作製したiPS細胞は、白人女性の皮膚からつくられ米国で研究用に販売されている細胞からできており、より臨床応用に近い条件で研究を進めるため、日本人の患者や健康な人から採取した細胞を使う。

 さらに、パーキンソン病などさまざまな神経変性疾患の原因や病態を明らかにするため、iPS細胞を利用して異常を再現する研究も始める考えで、今後、倫理委員会に申請するという。

 教授らは既に、マウスの皮膚から作製した万能細胞から、血管や心筋など多様な細胞をつくることに成功している。心血管組織のもとになる前駆細胞を誘導、異なる条件で数日培養し、血管内皮や血管壁、赤血球や心筋細胞などに分化させた。また、この前駆細胞をゼラチンの中で立体的に培養すると、細い管が四方八方に伸びて毛細血管に似た組織ができたという。

 一方、マウスの肝臓や胃粘膜からiPS細胞をつくることにも成功しており、皮膚由来の細胞よりがん化する危険が低いことが分かっている。会見で山中教授は「マウスの成果を踏まえて、人でもいろいろな細胞でつくってみる必要がある」と述べた。

 山中教授はまた「今後、より優れたiPS細胞ができてくる。多くの研究者に早く使ってもらえる態勢を整えることが大事だ」と指摘。既に約10の機関に細胞を分配しているという。

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山中伸弥教授
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