体のあらゆる組織に育つ能力がある人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発した京都大の山中伸弥教授は9日、川崎市内で会見し、日本人の肝臓、胃の粘膜、血液、さい帯血の各細胞や、神経変性疾患の患者の体細胞からiPS細胞を作る研究計画を明らかにした。日本人の皮膚を使う研究はすでに着手し、他の研究は大学内の倫理委員会に申請中、または申請予定という。
研究チームはこれまで、販売されている米国人の体細胞を使っていた。マウスではすでに、胃や肝臓の細胞からiPS細胞を作成しており、皮膚から作る場合に比べて、がん化しにくいことを確認している。ヒトのさまざまな体細胞を使うことで、より安全性の高いiPS細胞の開発につながりそうだ。
また、患者由来のiPS細胞について山中教授は「再生医療に利用するという意味ではなく、病気のメカニズム解明に役立てたい」と説明した。【須田桃子】
毎日新聞 2008年3月8日 21時48分