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仰げば尊し (佐高信)

全共闘運動が抑え込まれようとしていたころ、京都大学の時計塔の封鎖が機動隊によって排除された時、バリケードの中から「仰げば尊し」の歌声が流れて来た。

仰げば尊し わが師の恩

教えの庭にも はや幾歳

思えばいと疾し この年月

いまこそ別れめ いざさらば

ヘリコプター、催涙弾、放水等がまじるすさまじい騒音の中で、この歌は落ちついた声でゆっくりと歌われたという。痛烈な皮肉である。この学生たちの歌を、機動隊の指揮官たちと並んで、学長や教授たちはどういう思いで聞いたのか。

「君が代・日の丸」の法制化に反対する集会で、人材育成コンサルタントの辛淑玉は、どうして、君が代に反対する教師たちが生徒にこの歌を平気で歌わせるのか、と糾問していた。かつて教師だった私も不意をつかれた感じで絶句したが、確かにそうなのだろう。

私も、昨秋の北海道教職員組合の研究集会で、二つの法制化に賛成する議員が半分もいる民主党を北教組は支持したわけだから、この問題でここまで追いつめられたのは、ある意味で自業自得ではないか、と指弾した。北教組への指摘は、そのまま日教組にも当てはまる。とはいえ、事態の急進展に手を拱いてはいられない。横浜市教育委員会は昨年12月3日に、市内の小中高校の校長を集め、「国旗掲揚」や「国歌斉唱」に反対したり、妨害 したりした教職員をチェックするよう、マニュアルを配った。

ある風刺画に、小渕首相が福永法源をマネて「最高ですか」と呼びかけると、国民が「最低です」と答えるのがあった。そんな政治をしておいて、それを批判する人間が出ると、厳しくチェックする。まさに、盗聴法や日の丸・君が代法制化は、そうした批判が出ることを見越しての“批判狩り”である。

例のリクルート文部次官の高石邦男は、京都の「君が代」訴訟の裁判で、自民党の公認で衆院選に出る予定だったらしいが、と問われて、こう答えている。

「自民党とか、特定の党派のことは別にして、戦後一貫して、独立国家日本として、日本人の自覚を持たせ、国際社会の中にたくましい日本人として生きていくためには、シンボルである国旗・国歌を正しく教えていくというのが必要であるという観点で、戦後教育は展開されてきたわけですから、そういうものとは、まったく関係ございません」

独立とか自覚とかいう人間が、リクルート(コスモス)から未公開株をもらっていた。こうした人間が「日の丸次官」とか言われていたことをどう思うのか。そんな“人身攻撃”を繰り返しつつ、教師たちは反対して処分を受けるしかない。

「罰を受ける私たちより、下す諸君の方が脅えているではないか」というジョルダノ・ブルーノの言葉を思い出しながら。

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