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税と道路:/4 「地方の番だ」大合唱

 ◇首長、議員「都会のため先払い」

 世界遺産の石見銀山からほど近い島根県大田市温泉津(ゆのつ)町。国道9号わきの田園に真新しい橋脚が五つ並ぶ。島根県を東西につなぐ山陰道・仁摩温泉津道路(全長12キロ)の建設現場だ。「でも高速全線をつなぎ、ネットワーク化しなければ機能しない」。同県の溝口善兵衛知事(62)は繰り返す。

 溝口氏は国際金融畑が長い元財務省官僚。同省は長年、道路特定財源の一般財源化を求めてきた。その彼が、今は特定財源維持を強く求める。

 島根県の高速道路の供用率は50%(07年4月)で、全国平均(70%)から大きく後れを取る。

 97年、大蔵省総務審議官時代、首相退陣後の村山富市氏から聞いた言葉が忘れられない。国の財政再建を訴える溝口氏に村山氏は言った。「地方はやっぱり道路だぞ。道路を造るかどうかで、発展に大きく影響する」

 国の財政再建の影響で同県の道路予算は縮小する一方だ。今年度は458億円と最盛期から半減。年300億円を投じた県道改良事業は26億円に減った。

 「江戸幕府が来るまで東京は何もなかった。発展は政府(幕府)の投資でしょ。ようやく地方の番になり『じゃあやめる』は、公平性に欠ける」

   ■   ■

 2月8日、憲政記念館(東京・永田町)は全国の首長や地方議会議長、国会議員であふれた。暫定税率維持を求め地方6団体が開いた緊急大会。来賓席には民主党の菅直人代表代行の姿もあった。

 「まやかしだ」「できるのか」「地方のこと考えろ」。菅氏に、感情的なヤジや怒号が浴びせられた。暫定税率廃止、道路特定財源の一般財源化を訴える同党の主張は、出席者にはとうてい受け入れられなかった。

 1月23日、道路特定財源維持を求める都道府県議会議員らの総決起大会が東京都内で開かれた。自民党和歌山県議団の井出益弘会長(61)が呼びかけた。

 和歌山市と堺市を結ぶ第2阪和国道は、和歌山側の約12キロが未開通だ。「我々は、都会の道路建設のためにガソリン税を先払いしたようなもの。計画が止まれば、県民を裏切ることになる。国会での座り込みも辞さない」

   ■   ■

 「訂正とおわびを申し上げたい」。今月5日、参院予算委で冬柴鉄三国土交通相が頭を下げた。冬柴氏は先月28日、「全国1874の首長全員が『道路特定財源は維持すべき』と署名を寄せた」と答弁。しかし市長6人は署名していなかった。「署名を集めた時期は08年度予算編成直前の昨年11月」。民主党の福山哲郎議員は、予算編成への影響を恐れ署名したのでは、と指摘した。

 「署名しなかったのが6人と聞き、びっくりした。まるで(戦前の大政)翼賛会みたいですなあ」。6市長の一人、京都府綾部市の四方八洲男(しかたやすお)市長は驚いてみせた。「道路は必要だが、一般財源化や国の借金返済に充ててもいい。地域活性化は特産品開発などソフト面にシフトしていかざるを得ない」。白井文・尼崎市長も「すべてを道路整備に充てることには賛成できない」。

 住民のさまざまな思いを体現する首長や議員たち。その言動には地域の事情がにじみ出る。=つづく

毎日新聞 2008年2月29日 東京朝刊

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