◇被害者会見で
「お金は戻ってこなくても(神世界が)無くなってほしい」--。有限会社「神世界」グループによる霊感商法事件で26日、被害金の返還請求に踏み切った神世界被害対策弁護団(紀藤正樹団長)。被害を訴える水戸市の女性会社員(43)と山梨県の30代の女性が記者会見に同席し、ヒーリングサロンによる被害を切々と語った。
水戸市の女性は情報誌に載っていたサロン紹介記事にあった「ヒーリング」の文字にひかれ、通い始めた。事故で亡くした家族の霊を鎮める祈とうや物品代。05年11月からの1年5カ月で気づけば285万円も費やした。
女性は「エステ感覚で気軽に行ってしまうような所。今後も被害者が増える可能性があるので早く無くなってほしい」と話した。
2人は利用者が新たな客を取り込む巧みな商法についても語った。ヒーリング効果を「奇跡体験」と話して勧誘することは、ヒーリングと同じ効果が得られるとされているという。「いいことをしていると思っていたが、加害者にもなっていた」と口をそろえた。
昨年9月ごろにサロン通いをやめた山梨県の女性は、今年1月になってサロン関係者に現金を渡され、「和解しました」という念書にサインを求められたという。弁護団によると、神世界は県警の家宅捜索以降、被害を訴えている人に被害額より割り引いた額を支払うことで和解を図り、立件を阻むような動きを進めているという。【野口由紀】
毎日新聞 2008年2月27日