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【産経抄】3月2日

2008.3.2 03:36
このニュースのトピックス産経抄

 湯川秀樹博士が「中間子論」の論文を書いたのは昭和10(1935)年、28歳のときだった。原子核の中性子と陽子の間に何か粒子があるに違いないと「予言」したものだった。中間子の存在は12年後に英国のセシル・パウエルの実験で確認される。

 ▼その功績で湯川氏は昭和24年にノーベル物理学賞を受賞する。このとき、他人には「びっくりしました」と驚いてみせながら、スミ夫人との間では「遅かったな」と話していたというエピソードがある。自らの「予言」に絶対的自信を持っていたということだろう。

 ▼この中間子論を彷彿(ほうふつ)させる宇宙の「予言」が発表された。太陽系の8つの惑星の外に、もうひとつ別の惑星があるはずだという神戸大の向井正教授らの研究だ。今もっとも外側を回る海王星のさらに外にある1000個以上の天体の軌道を綿密に計算した結果である。

 ▼こうした軌道にはゆがみや傾きがあるが、そこに存在している「未知の惑星」の影響を受けている可能性が強いのだという。国際的に「精度の高い理論予測」と評価を受け、さっそく新惑星探しが始まっている。5年から10年で発見されるとの見方もあるようだ。

 ▼そうなればむろん、歴史に残る大予言となる。宇宙への夢もまた広がるはずだ。太陽系では、一昨年の国際天文学連合で冥王星が「準惑星」に降格された。まるで弟や妹がひとり欠けたようで心細い思いもしただけに、早く見つかってほしいというのは自然な気持ちだろう。

 ▼ただ「予言」や「理論」は立証されて初めて価値を持つものだ。歴史の世界などでは、沖縄の集団自決をめぐる「軍の強制」のように、何ら実証されない「理論」がしばしば独り歩きする。そこは自然科学の厳しさに学ぶべきだ。

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