質問9、アイヌの人たちへの差別って具体的にどういうものですか? 



 私自身に則して答えるしかないでしょうね。

 ただ、私は埼玉で生まれ育ちましたし、二風谷では夏冬過ごしただけなので、
泣いちゃうような差別の経験は正直記憶にありません。
 埼玉で小学生の時「夏休みはどうするのか」って聞かれて、「北海道のおばあちゃんとこにいく」と答えたら、
「えっ、北海道?アイヌ?やだぁ」と嫌悪もあらわに言われたことがあります。
今のあたしなら「そうそのアイヌなのよあたし」とか喧嘩の一つでも売るとこですが、
その時はただただびっくりしましたねぇ。
しばらくは思い出すたび悔しいの何の。
 あとは北海道に行くと空気でわかりますね、
「アイヌがいる」って口には出さなくても思われてるんだろうなぁ、っていうようなひんやりした空気。
  それだけです。ぬるいですね。
大した差別は受けたとはいえません。

 こんな能天気なあたしでも、北海道で生まれ育ってたら違うのだと思います。
なんとなくアイヌをとりまくひんやりした空気を毎日吸うのですから、さぞや・・・と思います。

 北海道で生まれ育った母は、店に入って品物を見るのが今でも苦手だといっています。
店の人に、「ああアイヌが来た。万引きでもされないかしらん」
って言う感じで監視するかのように見られたりしたから・・・だそうです。
 
 また、最近の話ですが、北海道の某都市で喫茶店を開いてる方が(私をアイヌとは知らずに)、
「アイヌは雇わない、差別するつもりもないけど実際に客が減るから」といってました。
むろん私はその後カムアウトしてきちんとお話しました。

 人間ってびっくりすることをするんですね。
私も自分の知らないってことで他人を貶めないように肝にめいじなきゃね〜。




poronupの参考意見:

私自身は差別を受ける当事者ではないのですが、今までの見聞をもとに答えます。

ネットなどで北海道出身の和人の方が「アイヌ」について発言しているのを見ていると、「私は差別していない」・「私はそういうのを目撃したことない」・「もう差別はない」・「いまさらアイヌも和人も区別がなくなっているので差別はない」などという意見が目立ちます。
しかし、気をつけなければいけないのは、「自分は差別したことない・見たことがない」イコール「差別は存在しない」ではないということです。自分は見たことなくても、実際には差別はあるのかもしれません。

差別といってもいろいろですが、確かに、私が実際に人から聞いたり本で読んだりするような体験談にあるような露骨な「差別」は、昔に比べるとずっと少なくなっているようです。
ひと昔前だと、まずは学校でのいじめはひどかったようですし、結婚差別、就職差別、いろいろひどいな話を聞きます。
やれ、銭湯に行ったら断わられた、とか、道を歩いているだけで指を指されて馬鹿にされた、石を投げられた・・・そんな話は嫌になるほど聞きます。
あと、学校で生徒のいじめだけではなくて、学校でものがなくなれば証拠もないのにアイヌの子供のせいにされた、とか、学校の先生が授業中にアイヌの生徒をからかって「アイヌは毛深いから不潔だ」などとひどいことを話した、とか先生による差別もよく聞きます。

・・・さすがに最近はそういう露骨な差別も少なくなっているようです。
でも、完全になくなったわけではないようです。

ここ5〜6年の間に私が実際に聞いた実例でも、子供が学校でいじめられて学校に行かなくなった、とか、縁談が破談になった、という話があります。

でも、難しいのは、就職差別にしても、昔のように「アイヌは雇わない」とはっきり断わるのはさすがにまずいので、理由をはっきり言わないで落とす場合もあるようです。
そういった差別の陰湿化もあります。

また、露骨な「差別」ではなくても、道を歩いているだけで「あの人、アイヌだよ」などと陰でひそひそ話したり、ジロジロ見られた、というような話を知人に先日聞きました。そういう好奇心の目も差別の始まりだと思います。

もちろん、アイヌであるからといって、たまたま周りで接している人がいい人であったり、同級生もいい人だったりして、差別を体験せずに生活できている人もいますが、問題が完全に解消されたわけではないことだけでも知ってもらえたらと思います。