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博士養成、ベトナムから1千人 政府、ODAで受け入れ

2008年03月01日17時44分

 政府は08年度から20年度にかけて、途上国援助(ODA)を使ってベトナムの若者1000人以上を日本の大学院に入学させ、博士を養成するプロジェクトを始める。ベトナム戦争などの影響で高等教育を受けた人材が少ないベトナム側と、少子化が進み海外から優秀な学生の受け入れを模索する日本側が「戦略的パートナー」(外務省幹部)になろうという試みだ。

 日本はこれまでタイ、マレーシア、インドネシアの学生計約3000人を対象に、留学生受け入れのための円借款を実施しているが、博士課程のみを対象にした枠組みは初めて。グエン・ティエン・ニャン副首相兼教育訓練相が3月下旬に来日する際に正式に合意する予定だ。

 外務省などによると、ベトナムが求めているのは主に理系の分野で、情報技術(IT)、機械工学、素材、ナノテクなどの先端技術をはじめ、全般にわたる。ベトナムから国費で受け入れている博士課程の留学生は現在年25人程度だが、この枠を08年度から徐々に拡大し、3年後をめどに大規模な受け入れを目指す。

 受け入れに前向きな主な大学院は東京、京都、早稲田、慶応、立命館、長岡技術科学など。日本側は200億円以上の費用が必要とみられる。

 ベトナムは米国との戦争を経て86年からドイモイ(刷新)と呼ばれる改革開放路線に転じた。経済成長率は8.5%(07年)と高いが、戦争などで多くの知識人が国外に流出したため、博士学位取得者は国内に約6000人しかおらず、今後の発展のネックになっている。

 グエン副首相は昨年、20年までに計2万人の博士を養成するプロジェクトを立ち上げた。うち日本と欧米など国外で計1万人を養成する考えだ。

 日本側としては、優秀な若者を日本で育て、両国の関係を深めたい思惑がある。資金や人材の流れを拡大し成長につなげる「グローバル戦略」を掲げる福田首相は、07年度は約12万人の日本への留学生を30万人にする方針を示している。

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