県北の救急医療の中核病院、延岡市の県立延岡病院(460病床)で、17診療科目のうち循環器科や外科などの医師6人が4月の異動で補充されず、救急医療体制が危ぶまれる事態になっている。
同病院は1次救急医療施設からの転送患者を受け入れる県北唯一の2、3次病院で、高度の検査や手術を要する重篤な救急患者を受け入れる。
病院事務局によると、同病院の医師は院長を含め62人。今年に入って派遣元の大学医局から異動の連絡が入り、4月の異動後に6人の医師が不足するという。
特に5人体制で休日・夜間を含め24時間カバーしている循環器科は、熊本大の4人と自治医科大出身者で構成。このうち熊本大の2人と自治医科大の計3人が転出を表明。交渉の結果、熊本大の1人は補充されることになったが、2人についてはメドが立っていない状態だ。
同病院の中武賢蔵事務局長は「コンビニのように(夜中でも気軽に)使う人が増えている」と話す。休日・夜間を含む救急患者数は10年前に年間約5000人だったが、06年度には9821人と倍増している。
あまりの多忙さを転出の理由に挙げる医師が多いといい、中武事務局長は「できるだけ時間内に来院するか、翌日に来院するなどして医師との共存を図ってほしい」と医療機関の危機を訴える。【甲斐喜雄】
毎日新聞 2008年2月29日