11月27日(ブルームバーグ):米サブプライム(信用力の低い個人向け)
住宅ローン問題に端を発した投資家のリスク回避に揺れる円・ドル相場は、クリ
スマス前と2008年2月に1ドル=100円に迫るが、突破は難しい。来秋には115
円程度まで反落するものの、11年には74円の戦後最高値に達する――。投資情
報サービス会社、ワカバヤシ・エフエックス・アソシエイツの若林栄四代表は
27日のインタビューで、短期の円高と中期の円安、長期の超円高を予想した。
若林氏は、サブプライム問題の影響について、今がメディアなどによる「ネ
ガティブ・キャンペーンのピークだ」と指摘した。金融システム不安はほぼ相場
に織り込まれ、米実体経済への波及に焦点が移っていくと予想。米連邦準備制度
理事会(FRB)は12月を最後に利下げを休止するが、米経済は「比較的容易
に」回復に向かうと語った。
原油や金など国際商品相場が上昇傾向にあり、ドルが安い環境で利下げを重
ねるFRBについては、日本銀行が1980年代後半に犯した「過ちを再現してい
る」と述べた。政治的な圧力などにもさらされる中央銀行は、金融システム不安
を恐れるが余り、過剰に金融緩和しがちになるとの見方を示した。
円・ドル相場は26日に一時1ドル=107円23銭と、05年6月以来の円高・
ドル安水準をつけた。年初来では9.9%上昇した。6月22日には124円13銭と、
02年12月以来の円安・ドル高だった。
8年サイクル、5年間は円高
若林氏は、円・ドル相場は8年周期で動いており、円は底値をつけた後、
「大体60カ月(5年間)」は上昇すると指摘。特に、底値の直後は6、7カ月間
に「最低でも18%、最高で23%」程度、円が急騰すると語った。6月につけた
124円13銭から、円が18%上昇すると101円台、23%上昇すると95円台となる。
したがって、円はクリスマス前に103、104円前後まで上昇し、いったん反
落した後、2月半ばころまでは「何度か100円にチャレンジする」と予想。ただ、
今冬の円高局面では94年以来となる100円突破はならず、来年9月頃にかけて
115円程度まで円が反落するという。一方、今年6月の安値を割り込むような円
安は「10年単位で」訪れないと言明した。
若林氏によると、その後は円が再び急騰。11年には74円と、1995年4月に
つけた戦後最高値79円75銭を更新する見通しだ。この円高局面では、仮に政
府・日銀が円売り・ドル買いの市場介入を実施しても「効かない。(円高が)止
まる時は相場が止める」と述べた。
日経平均は2万円目指す
不安定な値動きが続く日本株については、80カ月の周期があるとし、03年
4月に大底を打った相場は10年初め頃までは上昇基調を保つと分析。日経平均
株価は2万円超に達すると予想した。
若林氏は66年、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行。87年から96
年まで勧角証券(アメリカ)の執行副社長を務めた。90年代前半、ドル・円相
場が140円前後だった時点で「95年4月に1ドル=80円」と予測。実際、95年
4月に79円75銭の史上最安値をつけた。その直後には一転、「10年後は1ドル
=150円」と予想。時期こそ外れたが、ドル・円は98年に1ドル=147円台に上
昇した。
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