ビジネスマンのための中国経済事情の読み方

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2008年02月28日 高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)

中国人が「最も嫌いな国」は、日本ではなくなった!

 最近(昨年12月ですが)中国のネットアンケートで、日本が好きな国の第3位になったことと、また、嫌いな国では、意外にも第1位ではなかったという話が報道(北京12月10日時事)されましたので、その情報元のネットを検索してみました。

 中国の「天涯コミュニティー」というネットが中国人に隣国の印象について行ったアンケートで、以下のような結果が出ました。

●質問1:
中国の20の隣国の内、行ったことがある国は?(合計19,682票)

 第1位:どこも行ったことがない:6,223票(31.6%)
 第2位:マレーシア:2,037票(10.3%)
 第3位:日本:1,453票(7.4%)

●質問2:
中国の20の隣国の内、最も好きな国は?

 第1位:パキスタン:2,944票(28%)
 第2位:ロシア:1,572票(15%)
 第3位:日本:1,421票(13.5%)

●質問3:
中国の20の隣国の内、最も嫌いな国は?

 第1位:韓国:4,215票(40.3%)
 第2位:日本:3,147票(30.1%)
 第3位:インドネシア:1,957票(18.7%)

 私は、日本が嫌いな国の1番手に来るものと思っていましたが、1番は韓国でした。確かに、何度か中国人のビジネスマンから韓国人ビジネスマンに対する不信感を聞いたことがあります。私は、個別の事例かと思っていましたが、印象は相当悪いようです。

決断は遅いが
約束は守ってくれる日本人

 このアンケートにからんで投稿された中国人の意見のうち、面白かったものを並べてみます。このほかにも、当然、特に歴史問題に関して、多くの日本に対する激しい恨みの言葉もありました。とはいえ、私にとって慰めになったのは、中国人が日本人を嫌いな理由のほとんどは両国の歴史に由来するもので、日本人の素養や信用に関する疑念はほとんど見当たらなかったということです。

 もちろん長期的な視点から見れば歴史問題は重要ですが、2国間の歴史認識はもともとそう簡単に共感できるものではありません。まずは現在の日本人に対して悪い印象がなければ、将来的にはその感情が緩和されることも期待できるわけです。

 中国人の日本に対する感情の変化は、これまで中国でだまされることはあっても、コツコツと信頼を積み上げてきた日本のビジネスマンの汗と涙の結晶といえる面もあるかもしれません。これは私が実際に中国で中国企業とビジネスの話をするときにも感じていることですが、日本企業は決断が遅いけれど、いったん契約すれば契約はしっかり守る、順法意識も強い、といったような認識を持っている中国人は多いように感じます。こうした評価が定着していることに対して、我々日本のビジネスマンは誇りを持っていいのだと思います。

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執筆者プロフィル

高田勝巳(アクアビジネスコンサルティング代表取締役)
写真:高田勝巳上海在住15年。日系企業の中国ビジネス構築を支援しながら、中国経済の動向を「現地の視点・鋭い分析・分かりやすい言葉」をモットーにメディア等を通して日本に発信している。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)本部証券部門、上海支店等を経て2002年より現職。主な著書に『中国株式市場の真実』(共著・ダイヤモンド社刊)がある。

この連載について

長年中国に住み、現地企業や政府と接してきた著者が贈る中国リポート。ニュースではわからない、現地で暮らしているからこそ見えてくる“リアルな中国”を紹介する。

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