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大阪地裁所長襲撃事件 元少年の保護処分取り消し決定/大阪家裁 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:少年犯罪
大阪市住吉区で平成16年2月、当時の大阪地裁所長(65)が襲われ重傷を負った事件で、強盗致傷の非行事実で中等少年院送致の保護処分を受けた後、処分取り消しを申し立てた元少年(20)=事件当時(16)=の審判が28日、大阪家裁で開かれた。大西良孝裁判長は元少年の捜査段階の自白について「取り調べの誘導や示唆、暗示が強くうかがわれ、信用性がない」と述べ、処分を取り消す決定をした。刑事裁判の再審無罪に当たり、極めて異例。
大西裁判長は決定理由を述べた後、「(元少年を)長期にわたり審判手続きで拘束しており、早く解放してあげたい。検察官も対応を検討してほしい」と、検察側に抗告受理申し立てをしないよう勧告したと受け取れる異例の言及をした。
事件で逮捕・補導されたのは成人2人、少年3人の計5人。成人2人は1審で無罪=検察側が控訴=、当時14歳の少年が家裁差し戻し審で無罪に当たる不処分=検察側が抗告=となっており、今回の決定で、刑事責任が問われなかった当時13歳の少年を除く4人全員に「無罪」が出たことになる。
元少年は16年5月、大阪府警の取り調べで犯行を自供、逮捕された。家裁の審判でも非行事実を認め、同7月に中等少年院送致の保護処分となり、18年2月まで約1年7カ月間、少年院に収容された。
しかし、収容直前、面会に来た母親に無実を告白。大阪高裁と最高裁にそれぞれ抗告、再抗告して棄却されたが、成人2人の公判で、共犯とされた別の少年のアリバイ証拠や、実行犯4人が映った防犯ビデオ映像の信用性を崩す鑑定結果が証拠採用されたため、収容中の17年11月、処分取り消しを申し立てた。
事件は16年2月16日夜発生。帰宅途中の地裁所長が襲われ骨盤骨折の重傷を負い、現金約6万3000円を奪われた。