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現場から見た・08年度県予算:/上 深刻な救急医不足 /茨城

 ◇3病院連携で独自養成

 県立中央病院(笠間市鯉渕)の玄関前に救急車が数台並ぶ光景が見られるようになった。救急搬送の受け入れ件数は07年度急増。前年度の2493件に対して、07年度は昨年4月から今年1月までで2700件を超えた。

 「救急態勢を強化した影響だ」(県病院局)。昨年4月から専任医師を置き、同11月には救急部門を救急センターに格上げ。処置室のベッド数も増やした。

 背景にあるのは県内の救急医不足だ。日本救急医学会の救急専門医は県内に35人(07年4月現在)。人口当たりの専門医数は47都道府県中40位だ。

 同病院が昨年7~8月、1カ月間調査したところ、搬送されるまでに18カ所の病院で受け入れを断られたケースが2件あった。10キロ以上離れた水戸市やその周辺からの搬送が増えた。水戸市消防本部も10件以上の病院に搬送を断られることが年に数回あるという。「夜間、特に小児や精神科系の患者は敬遠される」(同本部)

 中央病院の片田正一救急センター長は「広く救急外来を診ることができる医師養成が急務だ」と話す。

 県は来年度予算で4500万円をかけて「総合・救急医研修システム事業」を新設、救急医を独自に養成する。大卒後3年目の後期研修医の研修を県立3病院が連携して受け入れ、内科系から小児、精神科系までの救急医療を学ぶ環境を提供する。研修後2年は県内の中核病院で勤務するのが条件となる。自治体が総合的な救急医を教育するのは全国的にも珍しいという。

 県は後期研修医の受け入れ病院への補助や医学部生向けの奨学金などの医師確保策を続けてきた(来年度も継続)が、「自治体が金を出して限られた医師を奪い合うだけだ」という声もあった。金を出して来てもらうだけでなく、自ら育てることで、医療過疎県の汚名返上を目指す。【若井耕司】

   ◆  ◆

 一般会計が7年連続で減少する緊縮型の08年度県予算案。2月定例県議会での論議を前に、県民の暮らしにとって大切な分野や世界最先端を目指す現場を歩き、考えた。

毎日新聞 2008年2月29日

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