文科省、若手医師の専門医取得を支援

 文部科学省は2008年度、初期臨床研修を終えた若手医師が専門医の資格を取得できるよう支援する高度医療人養成推進事業に乗り出す。複数の大学病院や大学関連病院が連携してひとつのプログラムをつくり、高度な後期研修を提供。若手医師が幅広い経験を積むための多様なキャリア形成システムの構築を目指す。同省は、事業の予算に15億円を要求しており、大学病院や連携病院の指導医の人件費などを補助する。

 同省によれば、高度医療人養成推進事業は、幅広い知識や技術を身に付けた専門医を育成するのが目的で、これらの人材の養成を通じて地域医療への貢献につなげる狙いもある。事業の実施期間は5年間だが、同省は「10年、15年と続けていきたい」と話している。

 複数の大学病院や関連病院が一つのプログラムを軸に得意分野を補完し合い、初期研修を終えた若手医師に、より高度な後期研修に専念できる環境を提供する。若手医師は、各大学や関連病院でキャリアを積みながら、専門医の資格取得を目指す仕組みだ。

 プログラムは全国の大学病院から公募し、教育内容や連携・指導体制などを踏まえて補助対象を選定する。
 大学病院はプログラムに組み込むコースごとに、習得できる知識・技能について具体的な到達目標を設ける。
 また、内容面では卒前教育や初期研修とともに、専門医の資格取得後の生涯教育と連動していることが前提で、特定の分野に偏らず全診療科を網羅することも求めている。

 プログラムの募集人員については「参加大医学部の全卒業者に対しておおむね5割以上」としたほか、「地域医療・総合診療」など地域医療への貢献が見込めるコースの設置も承認の条件に位置付けた。

 プログラムがスタートしてから3年後と5年後には専門医資格の取得状況などを評価し、期待どおりの効果が認められなければ、実施期間内の補助打ち切りもありえる。

 大学病院からの申請は5月上旬ごろに受け付け、実際にプログラムが動き始めるのは早ければ8月になる見通しだ。

 27日に文科省内で開かれた選定準備委員会では、大学関係者から「専門医の資格取得までの道筋が明確になる」など前向きな意見が多く挙がった。ただ、医師の医局離れが深刻化する中、専門研修医が特定のプログラムに集中すれば人材面での二極化が加速する可能性もあるだけに、不安を訴える声もあった。

 文科省は「大学には魅力あるプログラムづくりにご努力いただきたい」と呼び掛けた。


更新:2008/02/27 21:59     キャリアブレイン

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