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麻酔薬を誤って投与、患者が死亡 福岡市の病院

2008年02月27日12時14分

 福岡市博多区のさく病院(朔寛(さく・ひろし)院長)で、入院中の男性患者(68)が、血液製剤と取り違えて全身麻酔薬を点滴され、容体が急変し、死亡していたことがわかった。病院はミスを認めて遺族に謝罪し、博多署に報告。同署は業務上過失致死容疑で、病院からカルテなどを押収し、関係者から事情聴取するなど捜査を進めている。

 病院によると、男性は今月6日に直腸がんで入院し、13日に人工肛門(こうもん)を取り付ける手術を受けた。手術は成功し、術後の意識ははっきりしていた。

 しかし、手術翌日の14日午後、看護師が体調管理のため、血液製剤を点滴で投与しようとした際、過って全身麻酔薬を投与したという。直後に男性がいびきをかき始めたため、付き添っていた家族が不審に思い、近くにいた看護師に連絡。看護師が容体の急変に気づいて医師を呼び、救命措置がとられたが、男性は意識が回復しないまま、22日夜に死亡した。

 病院は救命措置をとった段階から、家族にミスを認め、謝罪。男性の死亡後、投薬ミスが引き金になったとして、医師法に基づき、同日中に博多署に報告した。

 同病院では、こうしたミスを避けるため、投薬の際、医師が薬剤師に対し、パソコン上での発注と手書き書類による発注を出すことで二重チェックし、看護師が実際に投薬する時にも再度確認することになっていた。投薬ミスのあった全身麻酔薬は、本来投与するはずだった血液製剤と同じような形態の容器に入っていたという。

 山根信隆事務局長は「麻酔薬と死亡の因果関係は捜査の結果を待つが、死亡の引き金となる重大なミスをしたのは間違いない。遺族には誠心誠意対応し、再発防止に病院を挙げて取り組んでいる」と話している。

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