早期帰国措置や帰国後の十分な自立支援策を怠ったとして、岡山、香川県の中国残留孤児27人が国家賠償を求めた訴訟の第14回口頭弁論が21日、岡山地裁であり、新たな支援策を盛り込んだ改正帰国者支援法の成立を受け、孤児側が訴えを取り下げた。国側も同意し、広永伸行裁判長が訴訟終結を宣言した。
弁護団によると2002年以降、全国15地裁に約2200人が起こした残留孤児集団訴訟で、終結したのは東京、福岡などに続いて6番目。岡山は04年2月の初提訴から丸4年を経て、司法上の闘いに終止符が打たれた。
この日の弁論では、孤児を代表して岡山原告団団長の高杉久治さん(66)=岡山市=と、香川原告団団長の山口康江さん(67)=高松市=が日本語で陳述。高杉さんが「4年間にわたって協力くださった皆さまに心から感謝申し上げます」、山口さんは「支援策についてはうれしい半面、遅すぎた。政府はしっかりと実行し、さらに充実させてもらいたい」と述べた。
奥津亘弁護団長も「かくも長き無策の時代が続いた原因と責任の追及の手を緩めてはならない。さらに細かな施策が実現できるよう一層努力していく」と訴え、国側は「新たな支援策を誠実に実行していく」とした。