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【主張】新銀行東京 存続の意義見極めるとき

2008.2.25 02:35
このニュースのトピックス景気

 東京都は多額の累積損失を抱える新銀行東京に対して、400億円を追加出資する予算案を都議会に提出した。ただ議会は、新たな増資を「問題の先送りにすぎない」としており、紛糾が必至の情勢である。

 新銀行は不動産だけを担保にせず、技術力や事業の将来性を評価して無担保・無保証で融資する経営方針を使命として掲げている。新銀行は経営再建のため、その方針を転換するという。ならば、新銀行が当初意図した役割はすでに終わったといえないか。

 新銀行東京は平成17年4月、当時深刻だった銀行の中小企業向け貸し渋り対策を目的に都が1000億円を投じて設立した。しかし、景気が回復して不良債権の重荷から解放された民間の金融機関が、積極的な中小企業融資に転じたことから競争が激化した。

 その中で、新銀行は低い審査能力と営業の拡大志向のため、融資が大量に焦げ付いた。昨年6月に再建計画をまとめ経営陣を刷新したが、20年3月期の累積損失は1000億円に膨れると予想されている。

 新銀行は昨年以降、店舗数の縮小や従業員削減などのリストラ策とあわせ、他の金融機関への営業譲渡を含めた資本提携を水面下で模索してきた。しかし、民間側は新銀行の決算数字以上に経営の悪化を疑っており、増資に応じるところはなかった。

 東京都の石原慎太郎知事は、「旧経営陣によって非常識な運営がなされた」と批判する。新銀行も内部調査を行って経営悪化の原因を徹底的に究明する姿勢だ。都議会も増資の審議にあたっては責任の所在を明確にする責務を都民に対し負っている。

 新銀行の融資によって、新たに事業を起こしたり、資金繰りでひと息ついたりした借り手も少なくない。無担保・無保証の迅速な融資は、旧来の金融界に一石を投じたのも事実だ。だが、仮に議会の理解が得られて今回の資本増強が実現したとしても、新銀行の抜本的な経営改革は難しいだろう。

 喫緊の課題は経営実態を正確に把握するとともに、新銀行存続の意義について冷静に見極めることだ。問題を先送りし、損失処理のため安易に都民の税金投入に頼る姿勢だけは厳に戒めなければならない。

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