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稲葉康生の目 「医は算術」では困る /東海

 「医師会員の3分の1は欲張り村の村長」。25年もの間日本医師会(日医)の会長として君臨した故・武見太郎氏はこう嘆いたという。「医は算術」という風潮を根付かせてしまったところに、日本の医療の根本的な問題がある。医療制度の分かりにくさ、診療報酬決定に至る不透明さが、国民から不信をもたれている理由だ。

 いま、医療の仕組み、財政、そして医療機関や医師の不足、偏在など問題が山積している。政治家や厚生労働省の官僚だけでは、難局は乗り切れない。やはり医師が医療改革の中心にいなくてはならない。

 だが、現実はお寒い状況だ。日医は診療報酬引き上げに懸命となり、医療費抑制を図りたい官僚とのバトルが続いている。その舞台裏は国民不在そのもの。取材でこの光景を目の当たりにすると、医療改革の道険し、との思いをもってしまう。

 「医療の専門家でもないのに、口を出すな」。医師からこんな投書が何回も届いた。だが、専門家だけでやってきたことが、今の混迷を招いたのではないか。医療を国民に近づけるために、皆で意見を出すべきなのだ。(中部本社代表室長=前社会保障担当論説委員・57歳)

毎日新聞 2008年2月24日

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