アンカラ――トルコ軍は22日、非合法武装組織クルド労働者党(PKK)の拠点があるイラク北部への越境軍事作戦を現地時間の21日午後7時から開始したと発表した。空爆を加えた後、地上軍が越境、PKK戦闘員の掃討作戦を実施した。
トルコの地元テレビ局は、消息筋の情報として越境部隊の規模は約1万人とし、イラク側へ約10キロ入ったと伝えた。これが事実なら昨年末以降のトルコ軍の越境攻撃では最大規模ともなる。PKK側との武装衝突があったのかなどは明らかでない。また、本格的な軍事作戦の開始を意味するのかも不明。
軍のウェブサイトは、作戦目標が完遂されれば速やかに撤退するとの軍首脳の発言を伝えた。
PKKはイラク北部からトルコへ侵入、軍への攻撃を繰り返している。トルコのエルドアン政権は昨年、PKKの攻撃が止まないことから、同北部への攻撃の権限を軍に認めた。一方、イラク政府は対話での解決を求め、軍事作戦の強行には強く反発している。イラクのクルド人も北部に自治区を樹立している。
PKKはトルコ南東部で約20年にわたり、自治を求めて武力闘争を展開。米国と欧州連合(EU)は、PKKをテロ組織に指定している。
米国は、トルコ軍の越境攻撃でイラク情勢がさらに混乱することも懸念しており、両方にらみの苦しい外交を強いられている。米国はPKK活動の情報提供などを通して、トルコに協力することを表明している。
イラクのジバリ外相は同国北部でのトルコ軍の越境攻撃の情報は受け取っていないと述べた。