島根県の「竹島の日」がきょう三回目を迎える。日韓両国が自国の領土として主張し合う竹島(韓国名・独島(トクト))。双方が歴史的経緯を冷静に見つめ合い、検証し対話の手掛かりを探るきっかけの日にしたい。
歴史認識問題など両国間には長年の懸案が多い。関係改善に意欲を示し就任早々、訪日する韓国の李明博(イミョンバク)次期大統領が領有権問題にまでどう踏み込むか。テーブルにつく日本政府は竹島問題にきちんと対応する覚悟で臨んでほしい。
竹島は隠岐諸島の北西に浮かぶ。二つの主島と数十の岩礁からなる。飲料水に乏しく、定住には適さないが、付近は暖流と寒流の接点で、豊かな漁場である。記録によると遅くとも江戸時代初期からその存在は知られ、明治に入ってからは、隠岐の島民たちはアワビやアシカ漁に通った。
現在、竹島は韓国が警備員を常駐させ、半世紀にわたり実効支配し、日本の漁業者は周辺漁場から閉め出されている。日本政府は「わが国固有の領土」と繰り返すものの、有効な対抗策を講じる気配はない。
竹島の日は、島根県が国に先んじて独自に条例制定した。国の及び腰もあり三年たっても竹島問題への理解が国民に浸透しているとはいえない。「固有の領土」と明言する以上、領土問題は国が取り組むべき問題であろう。政府広報としてテレビや新聞でアピールする「北方領土の日」に比べても政府の冷たさが際立つ。
県は、専門家による「竹島問題研究会」を設置し二年間の調査・研究を実施。その成果と県などに残る歴史的公文書を、県庁近くに開設した「竹島資料室」で公開するなど、啓発に躍起である。
しかし気がかりな数字もある。県による昨夏の意識調査で竹島に「関心がある」県民は64・1%いるものの前年調査より5・3ポイント減少。「関心がない」人も6・0ポイント増加したことだ。地元県以外の関心度が気になる。
昨年、研究会メンバーは竹島に近い鬱陵島などを視察し、韓国側の研究者らと話し合った。歴史的認識の深い溝は埋まらなかったものの互いに「言いっ放し」でなく、議論になったことの意味は大きかった、という。
研究会の成果や、県がホームページ上に立ち上げた「Web竹島問題研究所」の活動にも注目したい。まずは関心を持つことが肝要だろう。
|