【お知らせ】一部市民記者の投稿マナーについて

他の情報ソースは正しい方法での活用をお願いします

OhmyNews編集部(2008-02-20 22:30)
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 最近、インターネット上の情報ソース(他のニュースサイトやブログなど)の文言を、そのままコピー&ペーストして、あたかも自分の文章であるかのように装って投稿されたケースが複数見つかりました。いずれも読者からの指摘によって発見され、ただちに該当記事を不掲載にすると同時に、執筆した記者に厳重注意いたしました。

 ここで改めて、他の情報源を活用される場合の注意点を確認しておきたいと思います。

  ◇

 すでにテキスト(活字)になっている他サイトの情報(以下、ソース情報)を、ご自分の記事執筆のベースとなる土台情報、背景情報として使用することは、まったく問題ありません。ただし、使い方にはマナーやルールがあります。

 ソース情報を活用する方法は、2通りあります。

 ひとつは、言い換え(パラフレーズ)です。言い換えの場合は、

ソース情報の内容を理解したら、それをご自分の言葉で言い換えて、記事に書く。決してコピー&ペーストしない。
「どこどこのソースによると、……だ」「……であると、どこどこのソースは報じていた」という具合に、マナーとして、ソースの出典を紹介する。

 パラフレーズの一例を示します。信頼性が高いと思われるソース、たとえばアサヒコムの2月18日に以下のような記事があったとします(実際は、オーマイニュースの2月18日掲載「患者に殴られた──『院内暴力』、都内病院で年2674件」です)。

 東京都内約200の病院で、2006年度1年間に確認された「院内暴力」は計2674件、1施設あたり13.3件、「苦情に伴う治療費支払い拒否」は727件、同3.6件にのぼるとの調査報告が、3日にあった東京都病院学会で発表された。

 国立保健医療科学院専門課程の西塚至氏(東京都福祉保健局)による研究。病院が抱えるクレームや医療トラブルの実態を調べた研究は国内ではほとんどなく、この規模での調査は「おそらく初めて」(西塚氏)という。

 調査では、東京都内にある660あまりの病院のうち、東京都病院協会の協力で344病院に質問票を配布した。回答があったのは210病院(回収率61.0%)。国公立や大学病院、一般病院、精神病院などが含まれていた。


 この内容を、自分の記事の一部に使いたい場合は、内容を理解したうえで、たとえば下記のように、パラフレーズして(コピー&ペーストせずに、自分の言葉に置き換えて)、紹介してください。

 2月18日掲載のアサヒコムによると、東京都内の病院では2006年度、1施設当たり、「院内暴力」が13.3件、「治療費支払い拒否」が3.6件もあった。東京都福祉保険局に在籍する西塚至氏が都内の344病院にアンケートし、210病院から回答を得た結果、明らかになった。

 あるいは、

 東京都病院学会で2月3日、病人が医師らに暴力をふるう「院内暴力」に関する興味深い発表があった。その発表によると、2006年1年間で確認された「院内暴力」は計2674件、1病院当たりの暴力沙汰は、年13.3件にのぼる。アサヒコムが2月18日報じた。

 こんな具合です(なお、ソース数が1つしかなく、その情報内容の信頼性に疑問符がつく場合は、いくらパラフレーズしても背景情報として使いにくい場合があります)。

 もうひとつは引用です。上記パラフレーズは主に、背景情報、一般的情報を紹介するときに使うのに対し、引用は、もう少し積極的かつ厳密にソース情報を取り扱う(=批判する、分析する、評価する、など)場合に用います。

 引用は過去、当サイトでも何度か話題になりましたが、これは以下のようなルールに従う必要があります。

引用元の情報を、改変せず、そのまま記す。
地の文(記者自身が書く文)と区別するために、引用した部分をカギカッコでくくる、あるいはインデント(行頭を右に寄せる)する。必ず出典を明記する〔=明瞭性の原則〕。
引用部分を記事全体の半分以下に抑える〔=従属性の原則〕。
引用元の情報全体に対する引用部分を、必要最小限に抑える。要するに、引きすぎないようにする〔=最小限度性の原則〕

  ◇

 これら2つの方法から逸脱し、ソース情報の文言をそのまま引き(コピー&ペーストし)、にもかかわらず、引用のルールに従わず、あたかも地の文であるかのように書くことは、パラフレーズ、引用のいずれでもなく、ご法度です。

 今回発見された複数のケースはいずれも、記事の中核部分を他のソース情報のコピー&ペーストに頼った「盗作」というよりは、むしろ、記事の前段あるいは周辺に位置すべき背景情報を、自分の言葉で記す手間を省いてコピー&ペーストしてしまった「手抜き作業」「悪意なき怠慢行為」だと編集部は判断しています。

 しかし、読者からすれば、たったひとつでも、このような記事をオーマイニュースのサイト内で発見すれば、「オーマイニュースの記事はコピペばかりだ」「盗作が多い」との印象を持っても、不思議ではありません。

 自分の頭で情報を理解し、自分の言葉で記す。ソースには敬意を払う──。これら当たり前の行為を怠って、手軽なコピー&ペーストで誤魔化すことは、他の記者の作品の信頼性まで落とし、ひいてはサイト全体にダメージを与えます。

 プロの新聞記者の間でも「最近は、コピペして平然としている奴がいる」という、新聞出身者としては信じたくないような話を、現役の新聞社幹部から聞いています。紙メディアの場合、仮にコピー&ペーストしていても、紙媒体の特性上、見つけることは困難です(氷山の一角でときどき露見します)が、ネットメディアの場合、検索エンジンなどによって、コピー&ペーストは簡単に見つかります。ですから、一部プロ記者の悪弊は、決して真似しないでください。お願いします。

  ◇

 編集部は掲載前にコピー&ペーストの有無をチェックできないのか、という疑問は当然おありでしょう。

 しかし編集部は、他のソース情報の文言をそっくりそのまま借りながら、あたかも自分の文章のような体裁で書く行為をそもそも想定していません。したがって性悪説に立って、「さてさて、一体どの箇所がコピペされているだろうか」などと、投稿記事全文にわたってコピー&ペーストの有無をチェックすることはありません。編集プロセスの主目的は、事実確認と、達意のサポート(記者の意図するところをわかりやすく読者に伝えること)だからです。

 したがって、コピー&ペーストかどうかは基本的に、掲載後、読者が発見します。たまたま、第一読者の編集部員が、「この書き方は、どうもウサン臭い」と感じて、チェックし、発見する場合はあります。こうした記者には、注意喚起すると同時に、もはや信頼できませんので、当面、新規投稿において、コピー&ペーストの有無を事前にチェックしています。

 信頼とは、この記事(この記者)は間違いはないだろうと、エビデンス(証拠)抜きで、安心して任せられる感情のことです。壊すのは簡単ですが、復旧には時間がかかります。裏切られた場合、編集部は間違いないと確信できるまで、エビデンスをひとつひとつ確認し続けるでしょう。納得できるだけの証拠がそろわないうちは、記事は掲載できません。すでに何人かの記者については、編集部員がコピー&ペーストの有無を事前にチェックしていますが、これは、編集部員がそれらの記者を信頼していないことの証左です。

 読者が目にする1本1本の記事の信頼性が(編集部からすれば、ひとりひとりの取材・執筆行為への信頼性が)、最終的に、オーマイニュース全体の信頼性を高めていきます。この点をしっかり自覚して、ニュースを発信していきましょう。よろしくお願いします。(平野)


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