海上自衛隊のイージス艦と漁船の衝突事故の真相解明のポイントは、どちらの船に衝突を回避する義務があったのかという点です。第三管区海上保安本部は、2つの船の位置関係などを詳しく調べています。
衝突が起きたのは19日午前4時過ぎ。現場海域は暗く、漁船には衝突を予防するために、左側に赤色の、右側に緑色の「舷灯(げんとう)」が灯されていたとみられます。
「点灯は義務づけられている」(漁師)
イージス艦「あたご」の右舷には衝突の跡と見られる傷が残されています。衝突がイージス艦の右舷側で起きたとすれば、その直前の船の位置関係はどうだったのでしょうか?
これまでの防衛省の調査で、衝突2分前のことを、「あたご」の乗組員はこのように話していると言います。
「緑色(右側)の灯火を確認している」(石破 茂 防衛相)
漁船が「あたご」の右側にいた場合には、漁船の左にある赤色の「舷灯」が見えるはずですが、防衛省では、「舷灯なのか、計器類なのかは分からない」としています。緑色、つまり船の右側が見えていたのでしょうか?
一方、現場海域近くにいた漁師仲間はこう話します。
「たぶん清徳丸は赤電気をつけている軍艦は見ていると思う。青電気だけつけていたとかは全面的に嘘なんだから」(漁協の会見)
海上保安庁では、20日から艦長や乗組員からの事情聴取を本格的に行うことにしています。「あたご」の乗組員らが何色の灯りをいつ、どのように目撃したのかなど、当時の状況を詳しく聴き、2つの船の位置関係を詳しく調べる方針です。(20日10:59)