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我々は「奴隷」だった

 韓国で働いている外国人労働者に対する人権侵害が今も蔓延しているという事実に我々は恥ずかしさを隠せない。この問題は「コリアン・ドリーム」に期待をよせてやって来た外国人の失望と挫折にとどまらず、わが国のイメージにまで泥を塗ることだという点で決しておろそかに扱ってはならない。最近、外国人労働者対策協議会が発行した『外国人産業技術研修生人権白書』の内容を見ると、果たして韓国が文明国であるといえるのか考えさせられる。問題がより深刻になる前に外国人労働者保護法を制定するなどの根本対策を設けるべきだ。

 同白書は結論で「我々は奴隷だった」と締めくくっている。それだけ非人間的な虐待を受けたということだ。もちろん、暴行・外出禁止・監視・強奪・性暴力の例を列挙してある白書の内容が、わが国に滞在中の外国人労働者すべてに当てはまるということではないだろう。悪徳な企業主よりは善良な企業主がはるかに多く、また熱心に汗を流し働く労働者のほとんどがふさわしい待遇を受けていることだろう。しかし少数、ひいては1人でも「奴隷」扱いされるようなことは許されない。 あるネパール人の女性労働者は飲食代問題で争ったため警察に連行された後、精神病患者扱いされ精神病院に6年間あまり閉じ込められ、最近やっと自由の身になったという。国内の人権団体が最後まであきらめずに追跡してようやく明らかになったのは、この女性が韓国語をうまく話せなかっただけで正常だったにもかかわらず、警察は精神病者として処理したことである。このほか、身分証明書の差し押さえ・賃金未払い・労働災害などと関連した人権侵害の例は数え切れないほどだ。

 関連当局の関心が次第に高まっている。スリランカの労働相は先月、労働部を訪問した際、自国の労働者に対する虐待禁止や低賃金解消などを要請した。駐韓フィリピン大使も1月、労働部に同じような要求をした。バングラデッシュの労働者は帰国後、韓国で経験した人権侵害の例を告発する本を出したりもした。我々がこの問題に生ぬるい対応を行っている間にいつのまにか国際的問題として浮上し、「アグリー・コリアン(汚い韓国人)」のイメージを広めているのだ。政府はこれまで悪徳企業主を処罰し、外国人労働者全体の60%を超える不法滞在者にも勤労基準法上の労働者として待遇するよう行政指針を設けるなどそれなりに努力を注いできたが、韓国人との差別は相変わらずだ。

 我々が外国人労働者を差別しているにもかかわらず、海外の同胞に対する差別待遇を問題視することはできない。このふたつの問題を同一線上に置いて考えれば、我々がどのように対処すべきかはっきりするだろう。

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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