阪南市立病院で医師の一斉退職に伴い4月からの入院が休止する問題で、岩室敏和市長は15日、市議会特別委員会で4月から小児科など3診療科の外来診療だけで病院を存続させることを明らかにした。岩室市長は存続を決めた理由について「市民の安全を考えたとき、病院が残ることは不可欠」と説明。1年後をめどに再度、存続の可能性を検討するという。
市によると4月以降の外来診療は小児科、胃腸科・外科、歯科口腔外科の3科。残りの整形外科、循環器科、婦人科、耳鼻咽喉科、眼科、リハビリテーション科、麻酔科の計7科については検討中だが、婦人科についてはほぼ休診が決まっている。入院については休止し、現在入院中の約20人の患者については近隣病院に転院する手続きをしている。
岩室市長は「最悪の場合、3診療科体制になるということ」と話し、引き続き内科医や非常勤医の確保の努力を続けていることを強調した。
市は、3診療科だけで外来診療を続けた場合、平成20年度末には累積赤字は31億5800万円に昇ると試算しており、存続による財政状況の悪化は必至。岩室市長は「財政は無視できない。医師の確保の状況などを見据え、存続については1年後をめどに再度検討したい」と話した。
この日は病院の存続に関心を寄せる市民ら25人が傍聴。存続のため運動を続けてきた、阪南市連合婦人会会長の吉岡宏子さん(65)は「入院できなくなるのは残念。3診療科だけでも存続が決まってうれしい。一度病院がなくなれば再建は難しいので、ほそぼそでもいいから続けてほしい」としている。(阪南市立病院問題取材班)
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