ホーム > ニュース > 

主張児童ポルノ 根絶へ厳しい規制が必要

公明新聞:2008年2月19日

世界と協調し積極的な議論を

重大な人権侵害

  児童ポルノがインターネットの普及で氾濫し、国際的な問題になっている。児童ポルノは、子どもを被写体としたポルノ画像、動画のことで、それ自体が犯罪であり、子どもに対する重大な人権侵害として世界各国で法的規制が行われている。しかし、その扱いや規制方法は国によってまちまちで、国境のないネットの世界では、ある国がポルノ画像を非合法にしても、他の国のサイトにアクセスすれば見られるという事態が生じる。児童ポルノの根絶には、世界的な厳しい規制が必要といえよう。

 わが国はかつて、児童ポルノに対する規制が比較的ゆるやかだっったため、1996年にストックホルムで開催された第1回児童の商業的性的搾取に反対する国際会議(ストックホルム会議)で、「日本は児童ポルノの発信源になっている」と非難された。この批判を受けて、99年に児童買春・児童ポルノ禁止法を制定し、児童ポルノを厳しく規制。2004年の改正で、販売などの目的がなくても、児童のわいせつな画像を交換し合う行為も処罰の対象に加えた。

 児童ポルノ関連の摘発件数は急増しており、警察庁によると06年は616件と、前年より約250件も増えた。しかし、ネット上には依然として子どものポルノ画像が氾濫し、秋葉原などの書店で「児童ポルノ」と銘打った本やDVDが堂々と売られている現状は変わっていない。

 この中で、現在議論となっているのが、児童ポルノの単純所持や、アニメ・イラストの扱いである。単純所持については、04年の改正の折にも禁止条項の創設が検討されたが、「捜査権の乱用を招く」との懸念から見送られた経緯がある。だが、先進8カ国(G8)で単純所持を処罰対象としていないのは日本とロシアのみ。国際的な批判は免れない状況にある。

 確かに、児童への性的な欲望そのものは犯罪ではなく、単純所持の禁止に反対する向きもある。が、単純所持を禁止する理由としては、(1)児童ポルノの鑑賞は現実の犯罪を誘発する(2)児童ポルノの所持はポルノ制作者への金銭の移動を意味し、間接的に児童の性的搾取の支援になっている――ことが挙げられよう。

 性犯罪者の4割は、子どもの写真やアニメを収集していたという調査もある。昨年、事故死した子どもの写真を無断でホームページに転載し、児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われた東京都羽村市の元小学校教諭は、約80万枚もの子どもの裸や死体の写真をパソコンに保管していた。

 また、児童ポルノは、いったん流通すると、その再生、販売、配給は国際的になり、大きな利益をもたらす。米国で摘発された会社は、ネット上で総額900万ドルにのぼるビジネスを展開していたという。これらの“悪の温床”を根絶するためにも、単純所持の禁止を検討すべきだろう。

  アニメ大国の責任

  アニメなどを児童ポルノの対象とすることには、「実在する被害者がいない」「表現の自由を保障すべき」との理由から反対論が多いが、犯罪誘発防止の観点から、アニメ大国の責任において積極的に議論する必要がある。

 公明党は児童買春・ポルノ禁止法の見直しプロジェクトチームを設置し、専門家などと精力的に意見を交換している。被害者を救済し、被害拡大を防ぐための取り組みを大いにリードしていきたい。

関連リンク

  • 関連する記事は、見当たりませんでした

公明新聞をぜひご購読ください。公明新聞紹介

ページのTopへ