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損賠提訴:知的障害者、住み込み食堂提訴 給与なく年金奪われ--札幌

 札幌市白石区の食堂で長年にわたり過酷な労働を強いられながら給与や障害者年金を横領されたとして、住み込みで働いていた知的障害者4人(男性1人、女性3人)が、経営会社などを相手取り約4500万円の損害賠償を求め札幌地裁に提訴した。

 ◇1日12時間働き、入浴は月2回

 訴えられたのは「三丁目食堂」(07年11月ごろ閉店)を経営していた「商事洋光」(同区)▽住み込み寮を運営していた社団法人「札幌市知的障害者職親(しょくおや)会」(東区)▽4人の障害者年金の受取口座を開設した北門信用金庫(滝川市)。

 提訴は13日。訴状によると4人は07年までの13~30年間、同食堂で働いたが月給5万~5万5000円を一度も支給されず、障害者年金(4人計2580万円)も受け取っていなかった。1日12時間以上働き、休日は月2日。4人は食堂2階などの寮で生活していたが、休日の外出は許されず、入浴は近所の銭湯で男性が月2回、女性が週1回に制限されていた。

 職親会は札幌市から知的障害者の生活寮運営費補助として、93~05年度の12年間で計約2700万円を受け取っていた。障害者年金の受取口座は99年に商事洋光が開設していた。

 原告側は▽職親会は寮の運営責任者であり慰謝料の支払い義務がある▽北門信金は本人確認をせずに口座を開設した過失がある--として両者を被告に加えた。原告代理人の西村武彦弁護士は4人の被害総額を1億円以上とみているが、時効などの関係で請求額を絞った。

 職親会の小向裕一事務局長は「あってはならないことで非常に残念。事実解明を望むとともに、今後の対応は訴状を見て検討する」、北門信金の宮地和夫営業第1本部長は「訴状を見ていないのでコメントできない」とのコメントを出した。西村弁護士によると、商事洋光は事実上倒産しており、経営者の女性は行方不明という。

 札幌市は職親会に補助金を出していた間、一度も現地調査をしていなかった。市の担当者は「運営者からの報告書に不具合がなかったため」と説明している。これについて会見した西村弁護士は「行政や労働基準監督署、出身の養護学校などが何かおかしいと気付けば調べるべきだった」と語った。【芳賀竜也】

毎日新聞 2008年2月16日 東京朝刊

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