職場体験学習で「あいさつ」、「目標をもつ」など、社会を知った＝東京・御園中学校

【PJ　2008年02月16日】− 中学性が会社で働く職場体験学習カリキュラム。東京都大田区立御園中学校（西蒲田＝大塚洋校長）では８日、教育委員会教育課題推進校として実施している「平成18年・19年度、職場体験学習の研究発表報告会」を同校体育館講堂で開催した。ここでは職場体験をした生徒たちが、地域のコンビニ、美容院、ホテル、町工場などで社会に接した経験と、学んだことの報告を行った。

　コンビニを職場体験した生徒は、まず店の周辺の清掃、店内清掃、手洗いなど清潔の維持、接客、あいさつ、などを通じて、店が地域の人々に欠かせない存在になっていることを痛感。

　美容院を体験した生徒は、来店客の年齢に合わせて雑誌を差し出す接客の気づかい。立ち仕事の足腰の負担に加え、鋏（はさみ）を使う腕の酷使の状況を説明。厳しい仕事に耐えて、コンクールの好成績を持ちながら、なお最高レベルの技術を磨くための訓練を欠かさない美容師の姿に感動。社会に出るということは、「目標をもった生活」であり、「あいさつ」することで円滑になる対人関係。それが生きて行くために大切であることを学んだ。

　ホテルを体験した生徒は、宿泊客に快く利用してもらうための目に見えない社員の緊張感とサービス精神。裏方に徹した厨房のコックさん。ホテルは、宿泊だけでなくレストラン、貸室が収益に重要な役割があることを知る。個人ひとりひとりの努力がホテル全体を動かしていることを実感した。

　工場の体験生徒は、最初は足手まといになるのでは？　と不安だったが、これまで工場に学生が来ることがないと喜ばれたこと。製品が出来上がるまでの大変な苦労があること。取引先が引き取りに来たときの感動などを報告した。そして、自分は漫画家を志望しているが、そこに大変なことがあってもやり抜こうと思った、などを報告。

　研究発表は、これだけでなく、生徒を受け入れた事業所、生徒の父兄、活動を推進した学校の先生たちが、意見交換。地域の支援組織など各方面の関係者と話し合った。もともと研究テーマは「職場体験を通じて、職業観や勤労観を育成し、将来設計の基本的な力や態度を養う〜職場体験５日間の実践をもとに〜」という。やや長いが、内容はまさにそれである。

　大田区教育委員会の細島徳明教育長は、「御園中学校が、職場体験５日間の実践に向けて意欲的に研究実践を重ねてきたことの意義は大きい。保護者や事業所の協力と理解に努力し、キャリア教育の能力開発の先駆的な活動である。大塚校長をはじめ教職員の努力に感謝したい」と語った。そこには、学校側の事前指導、受け入れ事業所の開拓、保護者や地域の人々の支援を得るための連携と、数多くの課題を克服して実践したことへの評価がある。

　そのなかで、受け入れ側の工場での経営者が、少人数の会社なので、５日間も受け入れることができず、仲間の会社に頼み、３社と連携して５日間の体験日数を消化した経緯を語った。５日は長すぎると受け入れ日数のハードルの高さを指摘。それには父兄から５日間を支持する声もあり、地域活動としてのメリットなどが話し合われた。

　その後、生徒のキャリア教育の専門家である三村隆男上越教育大学准教授が「効果的な職場体験５日間の実施とは……」をテーマに講演。地域、保護者の連携で、生徒の将来にとって、キャリア形成の重要性を語る。先進的な他県の事例を示し、勤労観と職業観を学ぶために、なぜ５日間が必要なのかを説いた。学生が職場体験を通じて、生きる事、学ぶこと、働くことの意義と認識を高める研究発表会となった。【了】

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パブリック・ジャーナリスト　伊藤 昭一【 東京都 】
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