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詳報2月15日19時32分更新
小学校学習指導要領の要旨 学習指導要領改訂案

 【総則】

 ▽教育課程編成の方針

 教育基本法、学校教育法などに従い教育課程を編成する。知識・技能を活用して課題を解決するための思考力、判断力、表現力を育成し、言語活動を充実させ学習習慣が確立するよう配慮する。(※)

 道徳教育は人間尊重の精神と生命への畏敬(いけい)の念を生活に生かし、伝統と文化を継承・発展させ、公共の精神を尊び、主体性のある日本人を育成する基盤として道徳性を養うことを目標とする。(※)

 集団宿泊活動などを通して内面に根差した道徳性育成を図り、基本的な生活習慣やきまり、善悪の判断などを重視する。

 体力向上や安全、食育の指導は、生涯を通じ健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮する。(※)

 ▽授業時間数の取り扱い

 同様の成果が期待される場合、総合的な学習の時間での活動を、特別活動の学校行事の実施に替えることができる。

 ▽配慮すべき事項

 児童が学習の見通しを立てたり、学習を振り返る活動を計画的に取り入れる。(※)

 障害のある児童は特別支援学校の助言・援助を活用し指導計画を作成して、障害の状態に応じた指導内容の工夫を計画的、組織的に行う。(※)

 文字入力など基本操作や情報モラルを身に付け活用するなど情報教育の学習活動を充実する。

 【国語】

 ◇内容

 〈1、2年〉経験した事を報告する文章や観察したことを記録する文章を書き、事物の仕組みなどを説明した文章を読む。昔話や伝説などの読み聞かせを聞いたり、発表し合う。

 〈3、4年〉言葉の抑揚や強弱などに注意して、出来事の説明や調査の報告をするなどし、話すこと・聞くことを指導。易しい文語調の短歌や俳句を音読や暗唱し、ことわざや故事成語の意味を知り、使う。

 3年で日常の簡単な単語について、ローマ字で表記されたものを読み、ローマ字で書く。

 〈5、6年〉事物や人物を推薦したり、意見を述べた文章や解説の文章を読む。親しみやすい古文や漢文などを音読する。

 ◇指導計画の作成

 古典に親しめるよう配慮する。漢字指導では後の学年での配当漢字に振り仮名を付け、学習負担に配慮しつつ提示する。

 【社会】

 ◇内容

 〈3、4年〉自分たちが住む地域社会における災害や事故の防止への努力を考え、社会生活を営む上で大切な法やきまりを扱う。47都道府県の名称と位置を学び、伝統や文化など地域資源を保護・活用する地域を取り上げる。

 〈5年〉世界の主な大陸と海洋、近隣諸国を含めた主な国の名称と位置などを取り上げる。情報化社会と国民生活とのかかわりについて調べる。

 〈6年〉世界文化遺産や国宝など代表的な文化遺産や縄文時代の生活など、わが国の伝統や文化についての学習を充実。裁判員制度の仕組みに触れる。

 ◇指導計画の作成

 児童が興味・関心をもって学習に取り組めるように、観察や調査・見学などの体験的活動や表現活動の充実を図る。

 【算数】

 ◇内容

 〈1年〉絵や図を用いた数量の表現、面積や体積など量の大きさの比較など。

 〈2年〉簡単な2位数の乗法、簡単な分数など。

 〈3年〉3位数×2位数の乗法、小数や分数の意味と表し方および加法・減法など。

 〈4年〉整数の計算の定着と活用、同分母分数の加法・減法など。

 〈5年〉素数や台形の面積、異分母分数の加法と減法、図形の合同など。

 〈6年〉小数や分数の計算の定着と活用、角柱や円柱の体積、拡大図と縮図など。

 ◇指導計画の作成

 基礎的・基本的な知識・技能の確実な定着のため、発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による指導を充実。知識・技能を活用する力を育成し、学ぶことの楽しさや意義を実感できるよう、数量や図形などの知識・技能を実際の場面で活用する「算数的活動」を通して指導する。

 【理科】

 ◇内容

 〈3年〉物と重さ、身近な自然の観察、風やゴムの働きなど。

 〈4年〉骨と筋肉の働き、空気と水の性質など。

 〈5年〉雲と天気の変化の関係、水中の小さな生物など。

 〈6年〉てこの利用、人の主な臓器の存在、食物連鎖の関係など。

 ◇指導計画の作成

 観察、実験の結果を整理して考察したり、科学的な言葉や概念を使用して考え説明する活動が充実するよう配慮。科学を学ぶことの意義や有用性を実感し科学への関心を高めるため、学習成果と日常生活の関連を重視する。

 【生活】

 ◇内容

 〈1、2年〉通学路の安全を守っている人々に関心をもち、安全な登下校ができるようにする。遊びに使う物を工夫して作り、その面白さや自然の不思議さに気付く。地域の出来事などを身近な人々と伝え合い、進んで交流する。

 ◇指導計画の作成

 具体的な活動や体験を通して気付きを基に考えさせ、見つける、比べる、例えるなどの多様な学習活動を工夫する。

 【音楽】

 ◇内容

 歌唱指導は共通教材の中から必ず指導する曲数を増やし1−4年は4曲すべて、5、6年は4曲中3曲を扱う。共通教材は「うみ」「かたつむり」(1年)、「かくれんぼ」「春がきた」(2年)「茶つみ」「春の小川」(3年)など。

 鑑賞教材は和楽器を含めたわが国の音楽の指導を充実させ、楽曲を聴いて想像したことなどを言葉で表す。

 ◇指導計画の作成

 歌唱教材に、唱歌やわらべ歌や民謡など日本のうたを含めて取り上げるようにする。

 【図画工作】

 ◇内容

 形や色などを基に自分のイメージを持ち、伝え合いたいことを絵や立体、工作に表す。親しみのある作品を鑑賞し、感じたことを話したり、友人と話し合ったりする。

 1、2年は粘土、クレヨン、はさみなど、3、4年は絵の具、金づちなど、5、6年は針金、糸のこぎりなどの用具を扱うことができるようにする。

 【家庭】

 ◇内容

 〈5、6年〉少子高齢化に対応するため、家庭生活と家族の大切さに気付くよう教える。体に必要な5大栄養素と食品の体内での主な働きなどに触れ、日常の食事の役割や栄養・調理について指導し、食育を推進する。

 【体育】

 ◇内容

 〈運動分野〉子どもの体力低下、運動習慣の2極化傾向の指摘を踏まえ、体を動かす楽しさや心地よさを味わうとともに、体力を養えるようにする。

 〈保健分野〉健康状態は自分の気持ちや周りの環境がかかわっていることや、交通事故や身の回りの生活の危険によるけがの防止について理解できるようにし地域の保健所の活動などに触れる。

 【外国語活動】

 ◇内容

 あいさつや自己紹介など身近な場面を設定し、外国語を用いたコミュニケーションの楽しさを体験。日本と外国の言語や文化の違いを知り、外国や外国の文化のみならず、国語やわが国の文化についても理解を深める。

 ◇指導計画の作成

 英語を取り扱うことを原則とする。授業の実施にあたっては、ネーティブスピーカーの活用に努め、地域の実情に応じ外国語に堪能な地域の人々の協力を得るなど指導体制を充実。CD、DVDなどの視聴覚教材を積極的に活用する。

 【道徳】

 道徳教育は道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行い、道徳教育の推進を主に担当する「道徳教育推進教師」を中心に全教師が協力して展開する。(※)

 自立心や自律性、自他の生命を尊重する心を育てるとともに、発達段階に応じて指導の重点化を図る。低学年ではあいさつなどの基本的生活習慣を身に付け、人間としてしてはならないことをしないこと、中学年では集団や社会のきまりを守ること、高学年は法やきまりの意義を理解すること−などに配慮する。

 【総合的な学習の時間】

 地域や学校、児童の実態に応じ、教科の枠を超えた横断的・総合的な学習、探究的学習を行う。日常生活や社会とのかかわりを重視する。(※)

 地域の人々の暮らし、伝統と文化についての学習活動などを行う。

 【特別活動】

 ◇内容

 学級活動では、意見をまとめるなどの話し合い活動や人間関係を形成する力を養う活動などが充実するよう工夫。児童会活動やクラブ活動では、異年齢集団による交流を図る。学校行事を通して集団への連帯感を深め、公共の精神を養う。

 (※)印は中学と共通

(初版:2月15日19時32分)
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