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遺族への損害賠償認めず 割りばし死亡事故 東京地裁

2008年02月12日20時03分

 東京都杉並区で99年、綿あめの割りばしがのどに刺さって保育園児が死亡した事故で、割りばしによる頭蓋(ずがい)内の損傷を見落としたとして、両親が杏林大医学部付属病院(東京都三鷹市)を経営する学校法人と医師(39)に約8900万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は12日、請求を棄却する判決を言い渡した。両親は控訴する方針。

 死亡したのは杉野隼三(しゅんぞう)ちゃん(当時4)。医師は業務上過失致死罪に問われ、刑事裁判の一審・東京地裁判決(06年3月)は「事故を予見し、結果を回避する義務を怠った」と過失を認める一方で「命が助かる可能性は低かった」などとして無罪としたため、検察側が控訴している。

 12日の民事判決で加藤謙一裁判長は「割りばしが刺さったのが原因で頭蓋内が損傷した可能性があると診断すべき義務はなかった」と認定。過失をめぐり、刑事裁判とは逆の判断を示した。

 民事判決によると、隼三ちゃんは盆踊り大会で綿あめをくわえたまま転倒。救急車で病院に運ばれ、診察を終えて帰宅した翌朝に死亡した。司法解剖の結果、頭蓋内に約7.6センチの割りばしが残っていたのがわかった。

 民事判決は医師の診断について「割りばしが頭蓋内に入った例が事故以前に報告されたことは全くなく、割りばし片を確認することも困難だった」と指摘。また、仮に頭蓋内の損傷を診断できたとしても「入院・治療を行えば生存していた可能性が高いとは認められない」などと述べた。

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